中学時代は服装検査の一件以来、私もクラスに馴染んで先生たちも見慣れてしまったのか、あまり髪について聞かれることは少なくなりました。

 

 

 

それでもあまり話さないクラスメイトと初めてまともに話したりすると染めてるの?と聞かれたりすることもありました。

特に先輩から聞かれた時は心臓が飛び出るほどビビッていました。

当時私の通っていた学校には絵にかいたようなヤンキーが各学年数人いたので、ただ廊下ですれ違ったヤンキーの先輩に急に話しかけられて髪やばいよと言われたこともありました。

ただ私があまりにも陰キャで休み時間も本ばかり読んでいるような性格と雰囲気が功を奏し、特になにかされるということはありませんでした。

 

 

 

 

そんなこんなで中学三年生になって、高校受験の準備をし始めたときでした。

私は入学試験の面接練習をしていました。毎日学年の先生たちと練習をして、入試の数日前に校長と面接練習がありました。

 

面接の練習が終わった後に校長室に面接練習をしていた生徒が集められて、最後に校長から少し話がありその日は解散になりました。帰る準備をしていると担任に少し残ってほしいと声をかけられました。

 

私は担任に言われた通りに一人だけ校長室に残りました。

校長と担任と私の三人になり、私はなぜ自分だけが残されたのか分からずにいました。

 

 

カワウソさんは地毛なんだよね、受験する高校には私から地毛であることの申し入れはしておくから、安心して受験に挑んでもらって大丈夫だよ。

 

とこんなことを言われました。

その時は私は誰かの申し入れがなければ受験すらまともに受けられないのかと思いました。

他の人と同じではないこと、違うことがあるだけで常にそのことについて気にしながら今後も生きていかなければならないのかな、と漠然と考えていました。

 

 

校長は終始笑顔で話してくれました。

しかし私はなんでこんなことを言われるのか、こんなの偏見だ、私は世間から見るとそんなに悪い人間に見えるのかと、すごく無愛想に話を聞いていたと思います。

帰る瞬間まですごく不愛想だったと思います、、、。

 

 

 

 

その何年かあとに知ったのですが、実は高校に申し出をしてほしいと校長に頼んだのは私の母でした。

後からそのことを知って、校長も担任も母も私が受験に心置きなく挑めるようにすごく気にしてくれていたのだと思います。

 

 

 

ですがその時はどうしても気に食わず世間の茶髪への印象や、全国の校則について調べたりしていました。

 

 

 

それまでは皆なんでそんなに髪の毛のことが気なるんだろうくらいにしか思っていませんでした。

調べるうちに、地毛証明が求められる場合がある、茶髪は印象があまり良くないので黒染めした方が好ましいでしょう。

など世間の認識が結構厳しいという現実を初めて知りました。

 

これは未だに思うことなのですが、この時からなぜみんな髪の毛の色がそんなに気になるんだろうと思っています。

髪の毛の色がその人の人柄や性格を表すとは限りません。

 

それに生まれ持ったものはもちろん、生まれ持ったものでないにしろ個人の個性が他人によって捻じ曲げられる可能性があることはとても悲しいし腹立たしいことです。

 

 

 

いまでこそブラック校則などが話題になっていますが当時はそこまで気に留められていた印象はありませんでした。

中学卒業を目前にして世の中の印象について知ってしまい、絶望していました。

 

 

いっそのこと黒染めしてしまおうかななんて考えていた中学最後の年でした。