今日のお話は私の人生の中でも結構根に持っているというか、一生忘れてなるものかと思っている出来事でもあります。
中学に入学して一か月と少し経ったころ、生活にも慣れてきた時でした。
頭髪検査と呼ばれる身だしなみチェックがありました。私の通っていた中学校では、制服をきちんと着ているか、髪は染めていないか、髪は肩につく場合は結ぶ、化粧はしていないか、眉毛は剃っていないか、靴下の色のチェックなどが行われていました。
教室に何列かに整列して、一人ずつ項目に沿って検査が行われました。
私は自分で言うのもなんですが、クラスの中でも学年でもすごく真面目な生徒だったと思います。自分でも真面目な部類だろうという自覚があったので、検査に引っかかることはしていないし特に手直しなどせずにそのまま検査を受けました。
検査が進み、私の番がやってきました。
検査を担当する女性の先生が私の目の前に立って急に顔をしかめました。
私もそのしかめ面にえ?と思いましたが、先生はそのまま検査の項目を進めていきました。
そして一通り検査し終えた後に、あきらかに苛ついたような態度で「あなた髪染めてるでしょ。」と言われました。
私が染めていませんと答えると、隣に並んでいた同じ小学校の友達もこの子はずっとこの髪の毛で染めてないと言ってくれました。先生はさらに苛ついた様子で、そんなに髪が茶色いのに?とまた聞いてきました。
自分がしてもいないことでこんなこと言われて、正直この時は泣きそうだったのを覚えています。
このやり取りを聞いていた別の周りの友達数人も、カワウソは染めてないよ地毛だよと先生に説明してくれる子が何人かいました。
それを聞いてその先生もわかってくれたかな、よかったと思いました。
しかし先生は一通り友達の説明を聞いても、あいかわらずしかめ面で納得していない様子でした。
そして最後に私に少し顔を近づけて「あなた、嘘はバレるからね。」と言ったのです。
それだけ言うと先生は次の検査に進みました。
私は何を言われているのかすぐに理解できずに、固まっていました。
隣の友達に大丈夫かと聞かれて我に返りなんでこんなことを言われないといけないのか、こんなに嫌な気持ちにならなければいけないのか、怒りがこみあげてきました。まわりの友達に涙がバレないように笑うことしかできませんでした。
何もしていないのになんでそんなことを言われなければいけないのか、みんなと違う自分が悪いのか、今すぐ先生に言い返してやりたいという気持ちもありましたが、当時そんな勇気はなくただただ笑っていました。
この先生にとっては素行不良の可能性がある生徒をきちんと、学校の規則に従って指導した。その生徒がたまたま地毛だった。ということだけなのかもしれませんが、正直私はこの時のことを一生忘れることはないと思います。それだけ当時は傷つきましたし、ショックでした。
この出来事が私にとって初めての自分の個性であった、茶髪を否定された瞬間ではじめて他人に言われた言葉で怒りを覚えた瞬間でした。