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| 世界の注目を集める「ユーロ」の先行き。中でも焦点になっている「ギリシャ問題」は、どこへ向かうのか? 外為どっとコム総合研究所社長・主席研究員の植野大作氏にズバリ聞いた。 |
——ギリシャとユーロは、どうなるのか?
基本的にユーロは当面は弱含みが続くだろう。上値が重く、下がり始めると思いのほか差し込みが深くなりがちな状態が続く可能性が高い。原因は、ヨーロッパの債務問題の一段の悪化。そして、それによって発生している金融緩和観測につきる。
ギリシャについては、2010年5月に最初の金融支援を受け、既に一年以上、頑張って財政再建をしてきたのだが、市場の信用をまったく得ていないばかりか、事態は悪化している。たとえば、ギリシャの国債利回りは、2年債で80%、1年ものが120%になることもある。既にギリシャは、自力では今の借金を返せないということが市場で確実視されている状況だ。
現在のギリシャは、経済成長率がマイナス5%、失業率が16%という大変な不況にある。このギリシャに追い貸しする交換条件として、EUやIMFが追加の緊縮財政を求めているのは、瀕死の病人に激しいダイエットと筋力トレーニングを求めているのに等しい。ドイツなどの国々がギリシャ支援を行なうために、自国民に納得を得るという点で政治的には必要な措置なのだろうが、結果的にギリシャの苦境を一段と悪化させてしまっている。
ギリシャの問題は、ある日突然、ギリシャが債務不履行を宣言したり、ユーロ離脱を言い始めるとマーケットが混乱するので、それを防ぐことに重点が移っている。つまり、ギリシャの債務問題については、既に債務再編の回避を模索するという段階を過ぎ、如何に計画的に債権者が損を分かち合って秩序だった債務再編を行うかを考える段階にきている。そうしない限り、ギリシャが市場に復帰する道筋は見えてこないと思う。
ただし、その場合、ギリシャの国債等を持っていた人たちが損をすることは避けられないので、それがヨーロッパの景気を押し下げる圧迫要因になりかねない。
こういう状況になってみると、今年の7月と4月に、2回も利上げしたECBの判断は果たして正しかったのかという疑念を禁じ得ない。いかに小さな国とはいえ、債務不履行を懸念されている国が域内にいくつもあるにもかかわらず、インフレを回避するのが中央銀行の役割だといって、金利を引き上げたことが、債務問題で苦しむ国を追い詰めてしまった。その反動も働いて、ヨーロッパに利下げ期待が出てくることになるだろう。
一方で、ギリシャ発の債務不安が、イタリアやスペインなどに飛び火するのを回避するために、現在ECBは誰も買いたがらないイタリアやスペインの国債を買わざるを得ない状況に追い込まれている。自然体だとまともな値段がつかない不人気な国債を中央銀行が買い支えないといけないということ自体が、通貨価値の信任に響く行為といえる。それほどにユーロは値段が下がりやすい環境にある。
——ユーロドルは、どこまで下がる?
ユーロドルマーケットの最大の特徴は、世界最大の出来高。ユーロ価値のみならず、米ドル価値の指標にもなっている。金融緩和の長期化が見込まれている米ドルも不人気になっているので、ユーロドルも一方的なユーロ安にはならないだろう。ただし、スイスフランに対してユーロが歴史的な安値に売られたことに象徴されるように、ユーロの弱さは歴史的な水準にある。
ユーロは、年初の金利を上げる前のユーロドルが、1.28台だった。それぐらいまでの下落はあるとみている。今後、ドルの弱さが強調される局面では、ユーロが持ち直す場面もあるだろうが、今のユーロの抱える問題の深刻さを考えると、ユーロが芯から強くなって逞しく値上がりする姿をすぐには想像できない。何かのきっかけで弱含むと、大きく下げて、結果的に少しずつ下落していくのではないか。
——ユーロ円は?
ドル円が76-77円程度で、1ユーロが1.3ドルを割り込んでくれば、掛け算すると1ユーロ=100円を割ってくる。
ドル円には介入期待もあるので、ここから一段の円高余地は小さいと思うが、少なくともユーロが米ドルに対して今年の年初来安値くらいまで下がるのであれば、1ユーロが100円を割るぐらいの円高が進む可能性はある。
スイスが、これ以上のユーロ安フラン高を受け入れられないと、無制限為替介入宣言という思い切った政策を打ち出し、ユーロ安圧力の受け皿となることを拒否している。そこで、出口をふさがれたユーロ安圧力は、他に出口を探さざるを得ない。この出口に日本円がなる可能性はある。その意味で、日本がしっかりと円高に対して介入するという姿勢を示さない限り、思わぬ円高・ユーロ安が出現する可能性があると思っておいた方が良い。(編集担当:徳永浩)
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