今日は、カンファレンス=会合があって地下鉄日比谷線にのった。六本木から秋葉原に向かう間に 小伝馬町をとおった。この駅だった。地下鉄サリン事件で、周囲の人を逃がそうと誘導し、自分は逃げそびれてしまい呼吸停止・心停止でぼくのいるM病院に運ばれ、回復することなく11番目の犠牲者となった あの方が倒れた駅である。ふと、そんなことを思いながら秋葉原で降りたのだった。もちろん、そんな気分で直接自宅になんか帰れなかった。。。。


と、そんな話はさておき、今日はアメリカの心房中隔の治療の話を少ししよう。日本国内では、全身麻酔で治療する約束になっている。みなさんが誤解しないように書いておくが、全身麻酔というのは、気管に管を入れ、直接人工呼吸器+吸入麻酔使って治療中に寝ていただく麻酔である。点滴に薬を流し込み意識を落とし(sedation)、その間に治療を行うのは静脈麻酔と言って全身麻酔とは分けて考えます。アメリカでは多くの施設で局所麻酔で治療を行います。局所麻酔のいいところは、患者さんが起きているので、話をしながら説明しつつ治療ができるので、全身麻酔の合併症に不安のある方は安心できますね。でも、一方でドクター同志の話声や時には笑い声も聞こえますし、カテーテルを動かしたときに振動を感じてしまい、嫌な気分になることもあります。局所麻酔ではICE=アイス とよばれる心腔内エコー つまり超音波の機械を使って治療にあたります。昨年までの日本ではすべて全身麻酔だったので経食道超音波の管をのどからいれて治療にあたります。僕もこの経食エコーをやってもらったことがあるのですが、局所麻酔ではとてもこれをやられながら足の付け根からカテーテルなんて耐えられません。だから、全身麻酔というのはとっても楽ちんなのです。いつも思うのですが、患者さんは麻酔科の先生に眠らせてもらい、治療が終わったら起こしてもらいます。治療するなら絶対楽々! でも、世の中には肺の病気があったり全身麻酔をかけると逆にリスクが高くなる方もいるのでそういったかたにはICEがいいのでしょうね。ぼくのいる病院でもようやくICEが使えるようになります!