「過剰包摂」（over-inclusion）とは、心理学における概念で、
特に統合失調症などの精神障害に関連して言及されることがあります。
これは、思考やアイデアが過剰に関連づけられ、
通常は無関係とみなされる概念やアイデアが混ざり合う現象を指します。
過剰包摂の特徴
思考の散漫さ:
思考が一貫性を欠き、通常は関連性がないアイデアや概念が次々と連想されてしまう状態。
結果として、話の内容が飛躍的でまとまりがないものになりやすい。
連想の拡散:
通常の思考過程では無視されるような些細な関連が重視され、関係のない情報がどんどん取り込まれる。
例：特定の単語を聞くと、その単語に関連する一連の無関係なアイデアが次々と浮かぶ。
統合失調症との関連:
統合失調症患者に見られる典型的な思考障害の一つ。
この現象により、彼らの言語表現やコミュニケーションが分かりにくくなることがある。
認知過程の障害:
正常な認知フィルターの機能不全により、不必要な情報が抑制されずに意識に入ってくる。
結果として、思考の流れが阻害される。
過剰包摂の例
会話の中で:
質問に対して直接答えず、関連が薄い話題に逸れる。
例：「昨日の天気はどうでしたか？」という質問に対して、
「昨日、友達が来たんだけど、その友達は映画が好きで、その映画はハリウッドで作られたんだよね、ハリウッドって言えば…」というように話が飛躍する。
文章やスピーチ:
文章やスピーチが論理的でなく、一貫性がない。
例：エッセイを書いている途中で、特定のトピックから無関係なエピソードや詳細に入り込み、元のトピックに戻るのが難しくなる。
過剰包摂の対策
治療的アプローチ:
薬物療法：抗精神病薬などが処方されることがある。
認知行動療法（CBT）：思考のパターンを整理し、適切な認知フィルターを再構築するためのセッション。
コミュニケーション支援:
シンプルで具体的な指示を出す。
話の要点をまとめるためのサポートを行う。
過剰包摂は、精神障害を持つ人々の生活に大きな影響を与える可能性があります。そのため、適切な診断と治療が重要です。
