知的障害の特性と指導方法
特性の把握
知的障害の兆候

大きな声で注目を引こうとする行動: 知的障害がある可能性の一つ。
知能の評価方法:
言語的知能: 二つ目の質問にどう答えるかで評価。「他に好きな果物、何か言って?」に対する反応(ずらし、だまり、おしゃべり)。
動作性知能: 2つの物を持って目的地に行けるかどうかで評価。「これとあれを持って、あそこに行ってね!」という指示に対する反応(落とす、物忘れ、固まる)。
能力の把握

全身の観察:
運動と動作、認知と表現、態度を総合して評価。
ヒントや合図が効果的:
短い号令や合図が有効。
指導方法
家庭環境の影響

書きや話しの能力は、家庭環境に大きく影響される。
知的障害児は、雰囲気で動く傾向があり、遅れや引きずりが見られる。
側での支援

一人分の距離での支援が効果的。ただし、離れる設定を事前に準備し実践することが重要。
予習とスモールステップ

予習・予告参考書(事前型): まだ習っていない内容を先に学ぶ(例:学研教室)。
スモールステップ(次に何をするか): 具体的な指示を段階的に与える(例:公文問題集)。
視覚支援

説明は大げさで、はっきりと:
易しい内容: 結晶型、分けやすい、小見出し、偶数、イラストや写真的。
難しい内容: 流動型、つながりあり、流れがある、混ざり合う、図的、会話でのやりとり(5回以上)。
動作特徴

左右・聴覚: 染色体異常やADHDに関連。
回転・触覚: 肢体不自由や自己中心的行動に関連。
上下前後・視覚: ASD(自閉スペクトラム症)に関連。
行動の支援

全身行動: ついて行く行動を観察。
部位ごとの観察: 口、手、足、目、耳。
困難な状況での支援

強迫的な行動が見られる場合:
言語的支援が必要。
語頭の支援: 取りかかりタイプには、辞典活用的な言葉集めや語彙増量。
語尾の支援: まとめたいタイプには、しりとりやつながり、文脈指導。
言葉かけの方法

短く、はっきりと、2回以上同じ方法で。
これらの指導方法は、知的障害のある子どもたちが効果的に学習し、自立活動を行うために重要です。特に、視覚的・動作的な支援と適切な距離での支援が有効です。また、日常生活の中で予習やスモールステップの学習を取り入れることで、学習効果を高めることができます。

 

大分県立中央支援学校特別支援教育コーディネーター渡辺信一郎