福井の友だちから電話があった。

彼女とはいつも長話になる。

そのつもりで話していたが、話はこの間の旅行のことになった。

 

この間の踏切内に入ってしまった出来事は、余りにもビックリして、二人で話をすることもなく分かれることになった。

私は福井駅に帰る途中で、あの西山公園駅に寄ってもらったのだ。

あの後、次の電車で福井に向かってしまったのである。

 

彼女にしてみたら、私が何事もなく帰っていったように見えたとのこと。

彼女にとっては、天地がひっくり返るようなビックリだったという。

 

私もビックリしすぎて、彼女の気持ちを考える余裕が無かったようだ。

今日はゆっくりと、あの時のことを話題にできた。

 

彼女は踏切の中に入ると安全装置が働いて、駅員さんが飛んでくると思ったそうだ。

なぜ、そう思ったのかというと、私がしきぶ駅で、そういうことを話したからだと言うのだ。

 

それで思い出した。

しきぶ駅は構内踏切になっている。

 

 

電車がくるだいぶ前から、踏切が閉まってしまう。

余りにも時間が長いので、踏切が閉まってからでも潜り抜けていけそうと、彼女が言ったのだ。

私はそんなことしたら大変だと思って、側にある踏切安全装置とカメラを指し示して、大事になると脅したのだった。

 

彼女はそれを覚えていて、遮断棒の内側で、この先、どうなるのか恐れおののいていたのだという。

私はそんな気持ちを忖度する余裕は無かった。

西山公園駅は小さな無人駅で、側に第三種踏切があるくらいだから、安全装置やカメラがついていることはない。

でも、今日の電話で彼女がどれだけ恐い思いをしたか、はっきりと分かった。

 

私は写真を撮っていたので、電車が通過するまで遮断棒のことには気づいていなかった。

私の後ろにいて、遮断棒が降りてくるのを見ていた彼女の気持ちを考えると、つくづく、怖い思いをさせてしまったなぁと思った。

同じことを体験しているようでも、微妙に違いがあって、話してみないと分からないということを思い知った。