30年ほど前、夫と一緒に建てた家を処分することにした。
維持費がバカにならず、持ちこたえられなくなってしまった。
親戚の人に仲介を頼んだら、娘が気にして駆けつけてくれた。
この家には思い入れが強く、散々悩んだが、娘も同じだとは思わなかった。
建てた時は、一生、住むつもりだった。
夫は建築の仕事をしていたので、精一杯、私の希望をかなえてくれた。
固定資産税が高くて、間違いではないかと市役所に問い合わせにいったものだ。
“ハイテンションボルトが使ってある”とか“コン柱栓の数が多い”とか、
訳の分からないことを言われて、間違いではないことが分かった。
娘は、この家の砂場やブランコで、よく友だちと遊んだ。
部屋と廊下がグルグル回れるようになっていたので、
まるで運動会のようだったこともある。
フーッ
仕方がない ―― 