プロが教える技術翻訳のスキル:一流への道 | 医薬翻訳のアスカコーポレーション 社長ブログ

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大阪北浜、東京田町にオフィスを持つ医薬・バイオ分野の語学サービス会社 アスカコーポレーション社長 石岡映子のブログ。

翻訳連盟のイベントでご一緒させていただいた翻訳者の時國滋夫氏や現役技術翻訳者の高橋さきの氏、大光明宜孝氏、佐藤エミリー綾子氏、田中千鶴香氏らが書かれた「プロが教える技術翻訳のスキル」(講談社)が出版された。時國さんはもちろんのこと、田中さんは翻訳連盟で何かとお世話になっている、とても尊敬する翻訳者なので興味深く読ませていただいた。


「技術翻訳とは何か」から始まり、「技能」、「適性」、「収入」についても1章でわかりやすく説明されている。2章からは現役の翻訳者が自分の経験を踏まえながら分野別に、なぜ翻訳者になったのか、どうしたらスキルが上がるのか、これから翻訳者を目指す人へのアドバイス、などが具体的に書かれている。クライアントとの付き合い方、翻訳学校の利用について、役立つ翻訳メモリーツールの紹介など。初心者はもちろん、ベテラン翻訳者でもうなずける情報が満載だ。


化学、バイオ系翻訳者である高橋氏が、「五感を鍛えて翻訳力を養う」という項目で、翻訳的五感を鍛えることが大事だ、と。通訳でもないのに「翻訳は音の世界」という話も面白い。私が注目したのは「シャドウイングとエア・ディクテーションのすすめ」という訓練法。通訳でよく使う手法だが、ここでは翻訳力を磨くためのトレーニングとして紹介されている。


田中さんがコラムで紹介されているトピックも興味深い。一流になるためには「どんな球でも打ち返す」と。「自分の好きな球を待っていたのでは終わってしまいます」というイチローの話を受けて、翻訳者も同じ、だと。やりたい文書の翻訳が来るとは限らないし、悪文や、多数のタグが埋め込まれている扱いにくいファイルを翻訳しないといけないこともある。好きな仕事(球)を待っているよりは、どんな仕事が来てもあせらず、しっかり見極めて最大限の力で打ち返すべし。その意積み上げが成長につながる、と。
自分が一流になれば依頼される仕事も一流になるということ。
確かにトップ翻訳者は仕事を選ぶ。
そのレベルを目指して頑張ってほしい。


一流になるためなら2400円(税別)は高くない。
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%81%8C%E6%95%99%E3%81%88%E3%82%8B%E6%8A%80%E8%A1%93%E7%BF%BB%E8%A8%B3%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB-KS%E8%AA%9E%E5%AD%A6%E5%B0%82%E9%96%80%E6%9B%B8-%E6%99%82%E5%9C%8B-%E6%BB%8B%E5%A4%AB/dp/4061556223