新しい尿検査で前立腺癌のリスクが分かる? | 医薬翻訳のアスカコーポレーション 社長ブログ

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大阪北浜、東京田町にオフィスを持つ医薬・バイオ分野の語学サービス会社 アスカコーポレーション社長 石岡映子のブログ。

前立腺がんは米国の男性がかかるガンの第1位で、死亡率も肺がんに次いで第2位だ。

レーガン大統領が在職中に手術し、病名が世に認知された。

日本ではまれな疾患だっだ。

食生活の欧米化や高齢化で、近年日本では急激に前立腺がんの患者数が増加。

1975年に約2400人だった患者数が2006年には2万3000人、2020年には3倍の7万8000人になると予想されているらしい。

1950年の前立腺がん死亡者数が83人、2004年の死亡者数は8840人、なんと2015年には約2万人にまで増加するとも。65歳以上の男性が3人に1人はかかる、おそろしい病気だ。


発見が遅れることが重症化と死亡率を高めている。

だったら早くに発見すればいい?


2011年8月3日号の週間Science Translational Medicineで、新しい尿検査で前立腺癌スクリーニングを改善する論文が発表された。

新しい尿検査によって、前立腺癌のリスクが大きく異なる男性を区別できるというのだ。血清中の前立腺特異抗原(PSA)の濃度が高い男性が生検を受けるかどうかの判断ツールになる。Scott Tomlinsらが開発したこの尿検査では、前立腺癌の特異的な遺伝子変化(2つの遺伝子、TMPRSS2およびERGの融合)を利用して癌を見つけるらしい。


1000人以上の男性をこの新しい尿検査でスクリーニングし、その結果で、低リスク、中リスク、高リスク、という癌リスクカテゴリーに分類。その後行った生検で、低リスク群、中リスク群、高リスク群のそれぞれ21%、43%、69%が癌と診断されたという。

この研究は、前立腺癌発症リスクの高い男性を正確に「個別化」して検出する。

男性たちが前立腺がんの恐怖から開放される日が近いかも知れない。


詳しくは、

http://stm.sciencemag.org/content/3/94/94ra72.abstract


ちなみに私の父は20年ほど前に前立腺がんと診断され、いきなり余命数ヶ月と言い渡された。

皆で涙し、家族の中で「がん」という単語が禁句になり、そうしたTVもタブーとなった。

ところが父はその後も10年以上悪化せず、最後は心不全であっさり他界した。


あの診断は何だったんだろう、未だに謎だ。