今朝の朝日新聞で、肺がんの原因遺伝子を発見した先生の記事があった。
東大、自治医大教授の「間野博行」先生だ。
2006年、ヒトの遺伝情報30億の中から特定のがん遺伝子「EML4-ALK」を発見したという。
この発見は、主要科学誌で医学分野の年間10大ニュースのひとつにあげられたほどだ。
翌年には新薬の国際治験が始まり、
今年5月には日米で申請、同じ系列の新薬も続々登場するらしい。
間野先生が東大の血液内科医としての初めての患者さんが亡くなった。
がんが直接の原因でなく、強い抗がん剤の副作用に体が持たなかったから。
そのときのショックで、本当に効く治療を見つけたい、とがん遺伝子の探索が始まった。
2008年には、新薬の承認を待てずに韓国に渡った患者さんを見舞い、
明らかな改善を確認し、「鳥肌が立った」と。
こうした研究者や医師の強いパッションで新薬が開発されていく。
この薬剤は、血液がんの特効薬「グリベック」のきっかけになったがん遺伝子と変異が同じらしい。
私の兄が7年ほど前、血液がんの一種を患っていた。
なかなか改善せず、治験できる病院を探していた。
今から思うと、その、ノバルティスの「グリベック」の治験だったのだろうか。
それとも国内の「アザシチジン」だったのだろうか。
それほど重症と思っていなかったので、「見つかればいいね」なんて軽く考えていた。
大阪病院に受け入れが決まるかと喜んだが、結果的に除外基準ではずされた。
兄は腎不全も患っていたのだ。
結果的にその後数ヶ月で多臓器不全を併発し、他界した。
今ならそのどちらの薬剤も治療でつかうことができる。
兄も、もう少しは長生きできたのかもしれない。
私たちの翻訳が、こうした薬剤の開発を助け、一人でも多くの患者さんを助けられればうれしい。
いずれにしても現場の医師たちの知見とたゆまない努力には頭が下がる。