メディカル翻訳の現状と今後の課題は? | 医薬翻訳のアスカコーポレーション 社長ブログ

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大阪北浜、東京田町にオフィスを持つ医薬・バイオ分野の語学サービス会社 アスカコーポレーション社長 石岡映子のブログ。

日本翻訳連盟(JTF)の活動として、年に数回翻訳セミナーを開催している。

本日の講演は、「メディカル翻訳の現状と今後の課題」、

メディカル翻訳・ライティングのプロ、津村 建一郎氏がスピーカーだ。

約25年、外資系製薬企業で新薬の臨床開発業務に携わり、プロジェクト・リーダーとして数製品のビッグプロダクトの開発・上市を成功させてきた実績を誇る。


津村氏の講演概要は以下で見ることができる。

https://www.jtf.jp/east_seminar/index_e.do?fn=search


製薬メーカの翻訳担当者はもちろん、翻訳会社、翻訳者も参加し、満席だ。

講演内容の注目の度合いがわかる。


ASCAが仕事を始めてまもなく1998年くらい、外国臨床データの受け入れが開始された。

それまで日英の非臨床の試験データの翻訳が中心だったが、

ブリッジング試験に関する英語から日本語への翻訳が一気に増えた。


英語データでも当局では受け入れらたが、ブリッジングだと開発に手間がかかり、申請が遅れる。

だからドラッグ・ラグができて患者さんに不利益が生じる。


そこを解消するするには、世界”同時開発”が必要だ。

同時開発、とは”スピード”を意味する。

欧米、アジアの中で、日本だけ”翻訳”が必要になる。

だから翻訳にスピードと正確性が求められる。


クライアントからも常にスピードと質を期待されている。

それだけでも結構”きつい”と思っている。


最近はそこに、”より安く”、が加わる。

担当者も恐縮しつつ、ビジネスの現実がある。


津村氏の講演を聞いて、翻訳プラスアルファが必要だ、

と再確認できた。


一語○円、という料金設定でなく、

文書を作成することの付加価値も作っていきたい、と。


翻訳者、翻訳会社とクライアントの利益を高めたい。

永遠のテーマだ。


ちなみに津村氏の翻訳の中で、

「should」や「and/or」の訳し方も教わり、白熱した。


私は”時制”が日本語にない、という話が興味深かった。

確かに、「~する」、「~した」、「~するだろう」、

と訳す教育を受けてきた。

実際の文書では、日本語はすべて意味で時制を表現すべきだ。


是非今日参加できなかった人はDVDを購入してほしい。

学ぶべきエッセンスが多く詰まっている。