俺は龍也
何も夢もなく
親のすねをかじり生きてきた大学生である
朝、起きて当たり前のように親が作ったご飯を食べ
当たり前のようにシャワーを浴びる
それがごくごく普通の生活であった
「これで本日の授業を終了します」
大学での一通りのスケジュールをこなし、活動内容不明確なサークルに顔を出し、家に帰る何の変哲もない毎日を過ごしていた
あの日を迎えるまでは
俺には彼女と呼べるものがいた
ゆきと言う女性だ
髪の毛はセミロング、目はパッチリとしていて148センチと小柄で
友達も多く周りから愛される存在だった
「龍~也~」
遠くで俺を呼ぶ声がした
その声のする方へ振り返る
すると、そこにはゆきがいた
ドン!
「何で、待っててくれないの~
一緒に帰るって約束したのに~」
いきなり抱きつかれて
少し動揺する
なんせここは大学でも一、二を争う人が行き交う場所
みんなの視線が俺たち二人を包み込む
「わかったから」
と言ってゆきの体を引き離す
そして、今日あった出来事、ゆきが告白されたこと
宝くじを買ったこと
昔の思い出話などを話し家路につく。
外はすっきり雪化粧
寒いのが苦手な俺はあまり家からでたくなかったが
出ざるを得ない状況になり
渋々家を出た
バイト代を握りしめ
キラキラと光るイルミネーション
サンタ、トナカイと街並みは活気にあふれていた
「クリスマスプレゼントかぁ」
ため息混じりに俺は考え込む
こんなとき女友達でもいたらさぞ楽なのになと
思いながら、普段は決して行かないデパートを巡る
一時間
……
…
二時間
……
…
中々いいものが見当たらず
フラーっとアクセサリーショップに立ち寄ってみた
店員が近寄ってきて
「どのようなものをお求めですか?」
「特に決めてないんですけど」
感情がない言葉たちが行き交う
店員の話を聞き流しながら商品を物色する
「んっ?」
本日、初めて俺の目に留まるものを発見した
それは星の形をしたネックレスであった
値段に目をやると
「9万8千円っ!!」
到底、大学生がクリスマスだからといって手を出せるレベルではない
俺はそのネックレスを諦め
隣にあるネックレスにした
予想より少し安かったため
少しお金に余裕ができた。
ゆきが言ってた宝くじの話を思い出し
俺は宝くじ売場に足を運んだ
「買えても精々20枚かぁ」
と呟き宝くじ売場に並んだ
「バラで10枚と連番で10枚ください」
「バラで10枚と連番で10枚ですね」
と言い店員は俺に宝くじを渡した
家に帰り、ベットに横たわりテレビを点け、携帯を見て一件のメールを確認して開かずに携帯を閉じた
大体、予想はついている
きっとゆきだろう
あいつのことだから
「今、何してる?
今日○○あったさぁ」
と、他愛もないメールのはずだ
しばらく経ってメールのことを思い出してメールを開いてみた
件名 無題
本文
今、何してる?
今日ピアノの発表会あったさぁ!
やっぱり…
とりあえず
今しているありのままの現状をメールした
何通かメールのやり取りをして
深い眠りについた