皆さま、こんにちは。
税理士・公認会計士(船戸明)の「本業ブログ」にようこそ。
新聞を読んでいて、もっとも読み飛ばす(「読んで」ない…)紙面が企業業績欄です。大幅増益、赤字転落、30%減益、減損損失計上、などなど。企業が発表した業績や業績予想のうち、注目度の高い企業については単独の記事になり、すべての企業の業績については小さな数字で一覧表示されています。
過去の確定した業績について読んでも仕方ない。将来の業績予想はかなり主観的な数字だろう。そんな思いとともに、もう1つが、あまりにも技術的な(つまりは不安定な)見積りに基づく会計数字への不信感でしょうか。
減損損失を計上するには、将来の現金収支の見積もりが不可欠です。資産除去債務の計上には、将来発生するであろう店舗や工場の撤去費用見積りを計算しなければなりません。将来の現金収支の見積もりのために、不動産鑑定を行なう。そのために100万円単位の鑑定費用を支払う。挙句の果てに、減損損失の計上は必要ないとの判断。その鑑定費用は、いったい、誰の、何の役に立っているのか。
会計士試験自体は合格しているものの、登録を行なっていない知人が何人かいます。企業で働いていたり、自ら起業したり、「会計士」である必要がないのだと。ある意味で、会計の世界から卒業しているのですが、「もう戻れない」と口を揃えて語っています。おそらく、新しい会計基準が次々に導入され、試験に合格した頃(30年近く前)の知識ではついていけないという思いなのでしょう。
ついていけないのは会計士登録をしていても同じ。税理士事務所の仕事をしていると、むしろついていく必要もないのではないかとすら思います。見積りで損失や評価損を計上しても、税務上の損金とは認められません。会計で計上した費用を、全額加算する調整を行なうのみ。そのおかげで減価償却の調整が煩雑になるなど、手間ばかりがかかります。
新しい会計基準の内容にあまり興味は持てません。ただ、なぜその基準が導入されようとしているのか。会計はどこに向かっているのか。理屈の追求なのか、政治的な立場なのか。そのあたりの背景には興味があります。とすると、必然的に、個々の企業業績への関心は薄れ、新会計基準の解説や会計基準設定主体の責任者インタビューなどを読みたくなる。ただ、後者が掲載される頻度は低く、結果的に、新聞の企業業績欄を読み飛ばすことになるのです。
税理士として独立し、事務所を構えたときから、ある意味では会計から卒業したのかもしれません。机上の数字から、手元の現金へ。厳しくもありますが、実感のある世界です。
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