こんにちは。
税理士・公認会計士(船戸明)の「本業ブログ」にようこそ。
町田康さんの『しらふで生きる 大酒飲みの決断』(幻冬舎文庫)を読んでいます。マスクをしなくなった電車内で読むのは危険なくらいに、面白い。笑いをこらえるのに必死です。
30年間、1日と欠かさず酒を飲み続けてきた。ところが、ある日、酒をやめようと思い、実際に、やめてしまった。さて、自分はなぜ酒をやめたのか。いろんな仮説を立てながら、自分が酒をやめた理由を考え続けていく1冊です。
その1説が、自暴自棄になったということ。やけくそになって酒をやめた。でも、この仮説は、立てた瞬間に否定されました。「人間というものは、自暴自棄に陥ったらむしろ酒を飲むからで、リストラ対象になった、女に逃げられた、なんて場合、やけ酒、と称して大酒を食らう。失職や離婚をきっかけに酒精中毒になる方が多いのはこのためである。なので、「愛した女が男を作って逃げた。もうこうなったら自棄だ。酒をやめてやる」とはならない。やけ酒、というのはあっても、やけ禁酒、というのはないのである」(P.25)。
その次に登場した資産と負債のバランス論。「人生は楽しいはず。そりゃあそうかもしれないが、資産の反対側に負債があるように、純粋な楽しみというものはないはずだ」(P.43)。
仮に酒を飲んで楽しい(資産)のだとして、酒を飲む苦しみ(負債)はどうか。「その苦しみの内容は様々であるが、比較的わかりやすいものに、酒毒によって蝕まれる健康、時間を浪費することによって生じる生産性の低下、金銭の費消、酔いによる錯誤や判断ミス、錯誤によって生じる周囲との軋轢などがある」(P.52)。そして、酒の場合、楽しみと苦しみがバランスしていない。楽しみは費消されてしまい、苦しみだけが残るのだと。
確かに、飲んでろくでもないことが起きたときの気の重さたるや、後々まで響きます。今となっては笑い話でも、それはこちらの自覚であって、事実かどうかは分かりません。その点、ここ3年のコロナ禍により外で飲む機会が減少したのは、ありがたいところ。これからも、極力避けて通りたいと思います。
それにしても町田さん。「なぜ、いかにして、自分は酒をやめたのか」を延々と考え続け、1冊の本になってしまうというのはすごいこと。ゴルフは13年前にやめましたが、「なぜゴルフをやめたのか」なんて、メールマガジン1回書いたら終わってしまうでしょう。まだ読み始めた序盤で、ここからいかに展開してくのか、楽しみはたっぷり残されています。その裏側の苦しみは何かも自覚しながら、読み進めることにしましょう。
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