【解説】確定申告の義務 | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

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 法人の場合、原則として事業年度終了後2か月以内に、決算に基づいた確定申告書を提出しなければなりません。「内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から2月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。…(略)」(法人税法第74条第1項)。

 個人の場合はどうか。保険金を受け取ったとか、不動産を譲渡したとか、そういった「所得」であれば単発かもしれませんが、事業や不動産賃貸を行なっている場合、毎年同じように売上と経費が計上されるでしょう。それでも法人と異なり、個人で確定申告が必要なケースは限定されています。

 所得からは、社会保険料や生命保険料、あるいは配偶者や扶養親族に関する控除が可能。配当所得がない場合、「所得-控除」がプラスとなって税額が発生する場合にのみ、確定申告が必要という規定となっています。

 長いので大幅に省略しながら、条文の骨子を示しておきましょう。「居住者は、その年分の総所得金額……が……雑損控除その他の控除の額の合計額を超える場合において、当該総所得金額……からこれらの控除の額を……控除した後の金額を……課税総所得金額……とみなして第89条(税率)の規定を適用して計算した場合の所得税の額の合計額が配当控除の額を超えるときは、……第3期(その年の翌年2月16日から3月15日までの期間をいう。)において、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない」(所得税法第120条第1項)。

 法人(通常の株式会社や有限会社)は、当然に営業を行なう存在で、それなりの事務処理能力もあるはず。個人は、営業のみを行なっているわけではなく、事務処理能力を備えているとも限らない。この違いが、常に申告が必要な法人、課税所得が生じる場合に申告が必要な個人、という規定ぶりの違いに現れているのだと思います。

 とはいえ、ずっと継続してきた事業がたまたま赤字となり、所得税法の規定通りで言えば確定申告の義務がない場合に申告しないのかと言えば、必ずしもそうではありません。事業を続けていることが誇りになっている面もあるはず。その1年間の区切りが決算であり、確定申告であり。事業所得者に対して、「申告義務がないので今年は申告が不要です」と語ったことはありません。

 所得税法第120条に定められた通り、申告期限は3月15日です。ここ数年、新型コロナウイルス禍で延長されることもありましたが、昨年から一斉での延長処理はなし。依頼のあった申告はすべて提出済ですが、あと2日、対応できる体制は整えておく必要がありそうです。




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