【閃き】ものの見方 | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

毎朝4時起き、スポーツと読書が大好きな税理士/公認会計士がお送りする税務・会計に関する本業ブログです。
トピックスやふとした疑問から、税務・会計の話題を毎日お届けします。

こんにちは。
大阪南船場の早起き税理士・公認会計士(船戸明)の
「本業ブログ」にようこそ。

 だまし絵をときどき楽しく見ています。老婆と若い女性とか、壺と向き合う2人とか、ウサギとカモとか。同じ絵なのに、見方によってまったく違う絵に見えてしまう。どんなときに老婆に見えて、どんなときに若い女性に見えるのか。

『愛と怒りの行動経済学』(ハヤカワ文庫)に自民族中心主義の実験が出てきます。実験者から一定額を渡されたAさん。そのうち任意の額をBさんに分け与えることができる。そしてBさんには、Aさんから渡された額の2倍の額が実験者から与えられ、そのうち任意の額をAさんに返すことができる。つまり、最初のAさんにしてみれば、Bさんに多く渡せば、自分に多く返ってくるかもしれないということ。もちろん、返ってこないかもしれず、実験は「信頼ゲーム」と呼ばれています。

 この実験、AもBもパレスチナ人の場合、Aは最初の額の平均して66%をBに渡しました。AもBもイスラエル人の場合、平均して36%しか渡さなかった。では、Aがイスラエル人、Bがパレスチナ人だとどうなったか。A(イスラエル人)は同胞に渡す場合と同様、B(パレスチナ人)にも36%を渡したといいます。問題は、受け取ったパレスチナ人がそれをどう解釈したのか。つまり、自分たちは、66%を渡すことが普通だと思っているのに、36%しかもらえなかったことの捉え方です。

「当然ながら、イスラエル人の提案者が示した額に落胆した。実験の最後に被験者に配られた質問票のなかで、パレスチナ人プレイヤーは、イスラエル人プレイヤーからもらえると思った額と、実際にもらった額とに差があったのは、イスラエル人のパレスチナ人に対する差別の表れだと解釈していた。その差が行動基準のちがいによるものであり、イスラエル人が同胞のイスラエル人にも同じくらい少ない額を提案していたとは、思ってもいなかった」(同書、P.114)。

 もちろん、Aがパレスチナ人、Bがイスラエル人になると結果は逆になり、イスラエル人は喜んでしまう。どちらも、相手を意識しての特別な行動ではなく、単なる行動基準の違いです。それが、時に差別感情を生んでしまう。自分たちの行動基準を前提に解釈してしまうと危険な要素が見えてくるのだと。

 米国の下院議長ナンシー・ペロシさんが、8月上旬、台湾を訪れました。反発したのは中国。その後、台湾を包囲するかのように軍事演習を行なった。と書くと、そういう流れなのだろうと思ってしまいますが、果たしてそうなのか。

「最近の中国の内外情勢を分析すると、長距離と短距離の攻撃力で米国などの軍事的介入を阻止する「A2AD」(接近阻止・領域拒否)能力の誇示が目的だったようだ。中国はこの能力をベースに、勢力範囲を画定しようとしているとの見立てだ。この見方が正しいならば、台湾周辺の海域での大規模軍事演習は既定の方針であり、ペロシ議長の訪台はその実施を早めただけで、演習実施を決めた要因ではない」(26日、日経、呉軍華さん)。

 なぜか、この記事を読んで、様々な節税策を駆使した後に、「なんだかお金が残らないんですよね」と語った経営者を思い出しました。最初にそう言いましたよね、という話なのですが、どうも節税が大好きな人たちがいるようです。

 最初のだまし絵に惹かれるのは、ものの見方には大いなる錯覚が入り込みがちだということを再認識させてくれるから。ああでもない、こうでもない、と考える。正面から見て、後ろからも右からも左からも見る。違った背景を見つけるために、文字通りの目配りを続けていかなければと思っています。




【お知らせ】-------------------------------------

日刊「早起き税理士のスポーツ観戦記」配信中!
→ https://www.mag2.com/m/0001147393.html
週刊「週刊経理便」配信中!
→ https://www.mag2.com/m/0001689556.html
船戸明会計事務所ホームページ 更新中!
→ http://asayoji.fan.coocan.jp