【閃き】時流に乗らない | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

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毎朝4時起き、スポーツと読書が大好きな税理士/公認会計士がお送りする税務・会計に関する本業ブログです。
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こんにちは。
大阪南船場の早起き税理士・公認会計士(船戸明)の
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 デジタル、グリーン、テレワーク。ここのところ、新聞紙面で見ない日はないというくらい、頻繁に登場する言葉です。中学生の子どもですら、SDGsが何かを知っている。S(持続可能)とD(開発)が両立するなんてあり得るのだろうか、という素朴な疑問は解消していないのですが。

 5年ほど前、ある上場会社を訪問した際、こういうご時世なので環境問題に取り組んでいますという体裁は整えたい、と露骨に言われて驚きました。いや、素直な本音だと思いますが、それをグリーンウォッシングと言うのでしょう。「環境配慮をしているように装いごまかすこと、上辺だけの欺瞞(ぎまん)的な環境訴求を表す」(Wikipediaより)。

 下請け業者から2億円もの謝礼を受け取りながら、申告せず、所得税法違反で有罪判決を受けたのは、大手ゼネコン鹿島の元幹部。その社長が語っています。「昨年は当社でも社員の脱税という不祥事があったが、再発防止に必要なのはデジタル化だ。調達やコスト、工事や日常業務の損益などをデータで管理すれば、必要な資機材や出費を見える化できる」(1月27日、日経)。

 稲森和夫さんは、企業に内部統制が必要なのは、社員を守るためだと説きました。人間だから、誰しも「魔がさす」ことがある。そういう気にさせてしまえば、社員も会社も傷ついてしまう。だから、仮に魔がさしても事故が起こらないように、内部統制を整える。整っていれば、魔がさす機会も減るだろう。大昔に読んだ話でうろ覚えですが、そのような人間理解に基づいた発想だったと記憶しています。

 デジタル化や見える化という言葉づかいの軽さが際立ちますが、脱税する社員の心情を見える化することは不可能でしょう。見えないものは、見える化することより、まず見ようとすることが大事だと思います。

 見えない、ということで言えば、少し前に紹介した「メタバース」。米マイクロソフトは、米ゲーム会社アクティビジョン・ブリザードを7兆8000億円で買収します。アクティビジョン社の純資産は1兆9000億円。ということは、差額の6兆円弱が「のれん」です。「のれんとは「会計監査で認識できない見えない資産」と言われる。……アクティビジョンも本当の価値は1兆9000億円と7兆8000億円の間に眠るわけだが、マイクロソフトはメタバースのもたらす成長余地に期待を寄せ、……のれん部分の6兆円弱を明確な無形資産だと考える」(27日、日経)。

 マイクロソフトには既に5兆7000億円ののれんがあるようで、今回の投資でのれんは2倍になるのだとか。「通りにくくなるんだね」は、その話を聞いた中学生の「ボケ」です。それはともかく、無形で、測りきれず、もっとも見えないのが「人」でしょう。人を大事にするのか、体裁を大事にするのか、単に時流の言葉に乗ろうとしているだけなのか。5年後、10年後の企業の姿に反映されることになるのだと思います。




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