【閃き】開かれた可能性 | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

毎朝4時起き、スポーツと読書が大好きな税理士/公認会計士がお送りする税務・会計に関する本業ブログです。
トピックスやふとした疑問から、税務・会計の話題を毎日お届けします。

こんにちは。
大阪南船場の早起き税理士・公認会計士(船戸明)の
「本業ブログ」にようこそ。

『旬刊速報税理』という雑誌に、
「受験生に送る」というコーナーがあります。

 今回寄稿する機会に恵まれ、
 1月21号に無事、掲載されました。

 ここにご紹介します。

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◆開かれた可能性

 税理士という仕事を知ったのは、中学生の頃だった。理由は簡単で、父が税理士だからだ(80歳を超えた今も現役)。父が税理士試験に合格したのは、40歳を過ぎてから。ずいぶん後で聞いた話では、繊維業界の経理マンとして働いていたものの、その将来性に不安を持ったという。

「会計士という資格もあるよ」。高校生のときにそう聞かされ、大学入学時点で公認会計士試験を受験すると決めていた。前の人が道の右側を歩いていたら、左側を歩く。高校時代の行動で一番覚えていることだが、会社員となって何かの歯車になるのが嫌だったのかもしれない。

 合格後は大手監査法人に就職した。いわゆる就職氷河期で、同期は10人程度。監査現場初日、ある下着メーカーの経理部を訪ね、会議室に案内された。その瞬間、感じたことがある。「招かれざる客だ」と。

 上場会社を監査する目的は、決算書の適正性について第三者として意見を表明すること。投資家に安心して株式売買をしてもらうためだが、仕事場は上場会社なのに、成果物の監査報告書利用者は目の前にいない投資家なのだ。

 そのねじれを、初日に直感してしまった。以来、直接顧客のために仕事をしたいと、税務部門への転籍希望を出すこと5年。いよいよその希望が叶わないと分かったとき、父から「新しい仕事を手伝ってくれないか」と話があった。のったが、その話は立ち消えに。結果、顧客のあてもなく、独立だけすることになった。

 時間はたっぷりある。監査をしてきたが、税務のことを知らずに税理士を名乗るわけにはいかない。そこで、税理士試験を受験した。法人税、所得税、相続税。1年かけたが、所得税の準備は最後まで終わらなかった。相続税のみ失敗したことが、今も心のどこかに引っかかっている。

 独立して3年目。監査法人時代の同期に誘われ、ある上場会社で契約社員として働くことになった。最後は経営企画室長も任されたが、大きなプロジェクトに失敗。社長から戒告書も受け取り、その数か月後に退職した。ただ、再び税理士事務所に専念したとき、会話の幅が広がったことを実感。戒告書は今も机の上に掲げ、時折、目を向けている。

 数年前まで発行していた事務所便り。毎月30ページ前後で、経営者へのインタビュー記事も掲載した。高知の酒蔵、九十九里の硝子細工、山形の漬物など、様々な経営者を訪ねた。「税理士です、事務所便りを作っています、インタビューさせてください」。断られたことは、ほとんどなかった。そんなことして、どうなるのか。そう言った友人もいた。でも、顧客は喜んでくれた。今でも話題にのぼる。それだけで十分だ。

 いろんな回り道をしてきたけれど、結局、父と同じように1人で事務所をしている。父から承継した顧客は1社のみ。自分で何とかしろ、という姿勢で見守ってくれたのは、ありがたいことだった。

 何とかなる、のかどうかは分からない。まだまだ、道半ばだ。いろんな可能性が開けている。それくらいなら、断言してもいいと思う。
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