こんにちは。
大阪南船場の早起き税理士・公認会計士(船戸明)
の「本業ブログ」にようこそ。
この7月から、「国外転出時課税制度」が創設・適用されています。
所得税、相続税、贈与税に関する制度ですが、所得税に関して平たく言えば、
・過去10年の間に5年超、国内にいた人が、
・有価証券を1億円以上保有している状態で、
・国外に転出する場合、
・その含み益に課税する
制度です。つまり、実際に有価証券(株式等)の譲渡はしていないけれど、譲渡したものとみなして計算した譲渡益(含み益)に所得税が課されます。
・株式を保有したまま、日本で課税を受けず、
・株式の譲渡が非課税となる国に転出することで、
・日本でも、転出先の国でも、課税を受けない
状態になるのを回避するために導入された制度です。
日本でも非課税。
外国でも非課税。
両方で課税を受けないのは不合理だ(=どちらかで課税を受けないといけない)ということですが、ではこの制度、果たして富裕層の国外転出を防止することができるのでしょうか。
この点、既に2008年に同じような制度が導入されているアメリカについて、興味深いコメントが先日の日経新聞に掲載されていました。
「国外離脱者が3倍に増えた。一定のお金さえ払えば恥ずべき行為ではなくなったためだ」。
なるほど。
富裕層が、節税目的で国外転出する。これまでは、どちらでも課税を受けないという「疚しさ」を抱えながら転出したけれど、一定の所得税(しかも富裕層にとっては低率です)を負担することで、「正々堂々と」転出することができるようになる。ということは、制度導入が国外転出予防ではなく、国外転出促進策になったということです。
日本では、どのような動きになるでしょうか。
今頃、富裕層の方はどんなことを考えているでしょう。
ちなみに、日本で導入された制度の場合、出国時に課税を受けた有価証券を保有したまま5年以内に帰国すると、課税を取り消してもらうことが可能です。
ご相談、お待ちしております。
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