感情で物事考えたら利害一致しなくてうまくいかないの当然
大きなことを考えたら小さな不公平とか犠牲とかはしょうがないんだよ
理系の考え方って数字になるからわかりやすい
建物を造るにしても道路を造るにしても絶対壊れないようには造れない。100年に一回の地震なら半壊程度になるように造る。被害が最小限になるように。そうじゃなきゃ経済的に成り立たないから。
被害は出る。これを設計するときに技術者は何を考えるだろう。自分の設計で誰かが死ぬ。そんな前提でのもの造りなんて、あたしは誇りを持てるだろうか?
自分の志す分野が少し怖くなった。あたしの設計で誰かが死んだら?
あたしは半壊するとわかってる橋を誇りを持って造れるだろうか?
地震に関わる研究室にいる。
今はまだぺーぺーで何もできない。
もっともっと勉強したら
ひとりでも救えるはず。
地震の被害を減らせるはず。
特に何のために勉強してきた訳じゃない
始まりはたぶん単純に勉強が好きで、わかってくると楽しくて
人より出来ると嬉しくて
高校大学と打ちのめされた。みんなあたしより全然出来る。
あたしなんか勉強続けて意味があるのかなって。
ただ地盤工学だけはなんかわかった。得意だった。先生に一番テスト出来てたって言われて、大学で勉強褒められたのなんて初めてで嬉しかった。そうだあたし勉強好きだったって思い出した。
こうして結局地盤研究室に来た。
テレビが怖くなった。新聞も怖くなった。見たくないのに見ずにいられない。情けないけど怖くてしょうがない。独り暮らしを心底後悔した。あたしだけ生き残ったらどうしよう?
今はそんなんだ。21歳のあたしはそんなんなんです。
まだ何の力も無い。だけどこの研究室で勉強して勉強して、この業界で、地震の恐怖を減らしてみせる。
この勉強をするあたしたちにしか出来ないこと。
自分の分野の素晴らしさに気付いた。