やまぎです。


本棚の漫画を読み返す週間、第3弾の作品がこちら!




中田春彌先生の「Levius(レビウス)」という作品です!

(実はレビウスはまだ第一章の三巻までしか手元に揃えられておらず、今回は本棚にある本だけの感想となりますのでそこのところをご了承ください。)


まず、私がこのレビウスという作品に出会ったきっかけになりますが、ある時ぶらりと書店に赴き、「何か良い本ないだろか」と本棚を眺め、たまたま目に入った本の…
絵が綺麗すぎたから。
です。

絵を見ただけで「買わねば」と思った作品はレビウスが初めてでしたね!
表紙を見て即購入を決めました。

帰宅して早速ページを捲り、またもやド肝抜かれましたよ。もちろん良い意味で…!





美しい………
美しすぎる…


中田先生の画力の高さ、とんでもないんです。
最初から最後まで描き込みが半端ないんですよ
画集として見ても良いでしょう。それくらい美しい作品です。

そして、このレビウスは左綴じなんですよ!
作品の完成度を上げる、先生のこだわりを感じます。
画風や舞台背景も相まって、より洋書に近づいた印象です。読み方も左→右です。
普段から日本の漫画や本を読む人は最初少し戸惑うかと思いますが、すぐに慣れるので大丈夫です(*^^*)



それから、これは個人的に好きな描写なのですが…
中田先生は 魅せたい部分にピントが合うように、ぼかしたい部分はタッチで描かれているんです。


この部分は主人公…レビウスにピントが合っています。
瞼をぼかし、瞳だけにピントが合うよう描く表現が好きです。
まるで映画のワンシーン…
レビウスは表現が素晴らしいです。
中田先生は美の表現方法を、沢山研究されたのでしょうね。
そう感じずにはいられない、美の作品です。






さて、ストーリーの方の感想語りに入りたいと思いますが、
簡潔にあらすじを紹介させて頂きますね。



舞台は戦後まもない新生暦19世紀の帝都、ツェザーランド。
そこでは、人体と機械を融合させて戦う「機関拳闘」という競技が行われておりました。
作品の主人公である少年、「レビウス=クロムウェル」は、両親を戦争で亡くし孤児になった後、ツェザーランドに住む伯父(レビウス父の弟)に引き取られます。
そしていつもみる、「自分が機関拳闘の舞台に立ち、観客席で母さんが見守ってくれている」という夢の力を信じ、機関拳闘の闘士デビュー。
徐々にその頭角を現し始めていきます。
機関拳闘士達の美学、機関技師達のプライド、一人の天才から始まった 現実世界とは全く異質の文明技術、人間と人間の摩擦…
非常に多様な角度からキャラクターや世界観を描いている作品です。

このレビウスという少年について、もう少し詳しく紹介させて頂きますね。
レビウスの父親は革命軍の一員でした。
そのせいで伯父一家もレビウス親子も争いに巻き込まれ、沢山の物を失ってきたのです。
それ故に、レビウスは父親の事を「誇り高い戦士」などとは決して思っていません。
「あんな奴死んで良かったんだ」とすら伯父に話しています。

しかしレビウスが憎んでいるのは父親だけではありません。レビウス自身の無力さも恨んでいるのです。

それは新生暦1837年4月10日…200万人の犠牲者を生んだ欧州戦争最大の悲劇、「グリーンブリッジ強襲上陸作戦」が起こった日の事。
「敵軍が襲撃してくる」と聞いたレビウス(当時10歳ほど?)は、その日大事な手術を控えて入院している母親の元に駆け出しますが、「レビウスがいなくなった」と聞いた母親も病院から抜け出します。
しかし途中の街で襲撃を受け、レビウスを庇った母親は危篤状態に陥り、レビウスは右腕を失い義手になりました。
まだ幼いレビウスが背負うには重すぎる。
だからレビウスは、「機関拳闘の舞台で母さんが見守ってくれている」夢に固執し、その夢の力で機関拳闘士の上位にまで上り詰めることができたのですね。


そして第一章の大まかなストーリーですが、
ある日、機関拳闘士トップ11位が突然死。(機関拳闘士の上位13名はGrade-Ⅰ…「偉大なる13闘士」と呼ばれ、その13名で一つの階級になっている)
一つ席が空いたので、優秀な機関拳闘士2人を選出し戦わせ、勝った方を偉大なる13闘士の一員に加える事になりました。
そこで選ばれたのがGrade-Ⅱの7位であるレビウス、そしてGrade-Ⅱの1位であるヒューゴです。
そしてそのヒューゴの試合を観戦していた時の事。
対戦相手の機械パーツが破壊された時、その内部に『アメジスト製』と分かるマークが見えたのです。

アメジストとは、レビウス少年が経験した「グリーンブリッジ強襲上陸作戦」でも主力として活躍し、あまりの脅威から終戦直後に強制解散を命じられた戦争代理集団。
そしてアメジストは、人種差別や戦争で行き場を失くした孤児達を機械と融合させ戦士としてこき使う、卑劣な手段で功績を挙げてきました。

レビウスは、その機関戦士の一人の少女…A.J.を解放するため闘う…といったストーリーになります。


過去のある少年が、一人の少女を救うため闘う…
意外と少年漫画っぽい展開だなと感じます。
絵柄を変えればジャンプで連載できそうです(ウルジャンに掲載されてます)

ただ、かなりグロテスクな描写もあるのでそこはご注意くださいませ(^-^;


自分はこの第一章までしか手元に揃えられておらず、この先のストーリーはまだ未知の領域になりますが…

ここまでは全3巻、話も難しくはないので気軽に読めると思われます(*^^*)
この機会にぜひ読んでみては!





さて、ここから先は感想語りになります。
ネタバレ100%になりますのでご注意くださいませ!
















さて、まずはこのレビウスという作品、この男なしでは語れませんね。


ヒューゴ=ストラタス!!!!


ティモールジムの御曹司として生まれ、憧れのアリに近づくため、反抗期の真っ只中で会長(父親)に頭を下げてまでジムに入れてもらいます。

この描写の前までは、正直 ただの戦闘狂みたいで小物感ある男だなあ…としか思わなかったんですよね。


こんなデカい図体でちっちゃい望遠鏡覗いてるの、なんだか可愛いです笑(この後すぐ望遠鏡はへし折られる)




でも、こんな過去知ってしまったら…ずるいよ!応援したくなっちゃうよ!!!


なんて綺麗な真っ直ぐな瞳をしてるんだ…!!
こりゃ、生で観戦したらファンになるっての…!




でも、この後を思うと見てられんくらい辛いです…言葉を失いましたよ。
これがあのヒューゴなの…?と


レビウスらに軽口を叩き、「あんたは殴り倒さなきゃ気がすまない。リングの上で待ってる」と返され、会長の出ていった部屋で一人大泣き…


こんなに心が痛くなるシーンないでしょう。
もう絶望的、人の形も保てない姿になっては もうリングの上など立てません。


アリに近づきたい一心で、アリの墓にも行かず必死に練習してきたのに…
アリの続きを引き受けるために生きてきたのに…


A.J.との対戦後にも、瀕死状態のレビウスを鼓舞するために現れますが それがまたカッコイイ。
死の間際に宿敵を鼓舞しに現れ、死を悟ると笑みを浮かべて消えていく…



ヒューゴは作中一カッコイイ男だと思います。

かっこいいとはこういう事だ…




…ヒューゴ、第二章以降では出番ないんでしょうかね…
もう死んでしまったし、出てくるとしても回想シーンくらいでしょうね。
本当に良いキャラしていたので残念です。
Leviusはヒューゴを読むためだけに購入しても後悔しない作品だと思うほどです(*^^*)




そしてね、もう1人良いキャラしてる男を語りたいと思います…

ビル=ウェインバーグ!!!!
ビルが一貫してかっこいいんです。

ビルは機関拳闘士の技術師、レビウスの専属です。
ビルは非常に高い技術力を持ち、性格は常に冷静沈着な現実主義者…
一見ツンとしていますが、レビウスを心配する様子も見られます。
伯父の気持ちを察してフォローもできる、魅力溢れた男ですね。


彼は対A.J戦の時、特に輝いてましたね!

「僕は君達二人がどうなろうと構わない!だがこの試合は諦めろ、レビウスには辞めさせるべきだ!」
と、純粋にレビウスの身を案じた台詞を発しています。
ここでまたビルの良さが光ります。優しさと思いやりがキラキラ…


また、レビウスの整備の最中に「ヒューゴが心肺停止状態になった、ここで治療に向かわなければ契約違反だぞ」と乱入が入り、クラウンに煽りに煽られたビルが放った一言がこれです。

これこれ!!!!


ここで全て持ってかれましたよ…!!


決して取り乱さず、冷静に対処していくビル。
一流だよ。医者、技師の鑑だよ。
この場面は本当にスカッとしました
クラウンのあの面食らった顔…!!!



クラウンといえば、「人は皆、私の人間性や心理につけ込んで説得しようとするの。でも無駄。私は人の不幸で生きている。」
と言い放った、清々しいまでの悪人ですよね。
A.J.のお父さんの拷問は今まで見た作品の中でもかなりエグくて気持ち悪いものでした…(初見から2日くらいフラッシュバックした)

そりゃ、あんな拷問を受けりゃ「子供いらないから助けてくれ」とも言いますわ!!!
というより、あんな状態になるまで決して子供を売らなかったの立派じゃないですか…!!
A.J.ちゃんも、お父さんの想いをちゃんと分かっていたんでしょう。
クラウンの「あの父親は自分の身欲しさに子供を売ったのよ!でもA.J.は父親を憎まず、むしろ愛し続けると言った」
という発言には「はあ…?」となりましたね。
イカレている。
気持ちいいくらいに気持ち悪いキャラです。




そしてここは個人的に好きなシーン。
A.J.戦で、レビウスと伯父さんが共闘する所です。


2人の構図が全く同じところが好きです。
身内を失う苦しみを知っている伯父さんが、レビウスのために役に立とうと体を張る…
感動したと同時に、失明するかもしれないのに ひどいとは思うんですが「良かったね」とも感じたんです。
大事な甥っ子の役に立てて良かったね。
伯父さんがいなかったらA.J.ちゃんには勝てなかったし、レビウスと一緒に体を張って闘えたのは伯父さんの心も救われたんじゃないかしら…
と思うのです。



そして三巻最後のページ絵。

本編との温度差がすごい!笑
可愛すぎますね!!!(///∇///)
こんなデフォルメチックなレビウスのスピンオフ作品があったら、絶対買っちゃいますね笑





今回は以上になりますが、レビウスを読み返して「こういう作品だったんだ」と理解を深められた場面も多くありましたし、続編も手元に揃えたくなりましたし…
レビウスはまた再度ブログに書かせて頂くかと思います。
最後までご高覧ありがとうございました!(*^^*)