不妊治療は、どちらか一人が頑張るものではない。
医師からは、夫の詳しい検査をするために月に1度クリニックに来院する泌尿器科医を案内されていた。
夫婦で話し合って診察を希望する場合は予約を取るようにとのこと。
不妊治療は、夫婦で向き合っていくものなのだと、そのとき初めて気づかされた気がする。
けれど、その日、病院を出た私はまだ整理がつかないままだった。
ぼんやりと座っていると、スマホが震えた。
夫からのメッセージだった。
「今日の診察どうだった?」
ちょうどお昼休みの時間だったのだろう。
いつも通りの、何気ない一言。
けれどそのメッセージを見た瞬間、また胸がぎゅっと締めつけられた。
なんて返せばいいんだろう。
「大丈夫だったよ」とは、とても言えない。
でも、この事実をメッセージで伝えることもできなかった。
どうしたらいいんだろう。
画面を見つめたまま、しばらく指が動かなかった。
ようやく私は、短い言葉だけを打った。
「ちょっと先生から話があった。帰ってから話してもいい?」
送信ボタンを押したあと、胸がざわざわした。
すぐに夫から返信が来た。
「わかった。大丈夫?」
その優しい言葉を見た瞬間、涙が出そうになった。
ぜんぜん大丈夫じゃない。
でも、そのことをまだ言葉にできなかった。
夫もこのやりとりで、今日の治療がうまくいっていない事は察しているに違いなかった。
これから私たち夫婦はどう生きていくのだろう。
夫婦2人でもきっと充実した楽しい生活が送れる…確信があるし自信もある。
でも私たちの目標は、一番の夢は、2人のかわいい子供を持つことだった。
その夢を簡単に諦めることはできない。
今、手放すと後悔が残るだろう。
きっと夫も同じ気持ちのはず。
今、改めて自分たちの生き方を模索する。
・・・そんな気分だ。
往生際が悪いのかも知れない。
でも、ここまできて強く思う。
やっぱり赤ちゃんがほしい。
夫をパパにしたい…