後期高齢者医療保険に関して、相当な反発が私の事務所にも寄せられております。昨年の10月号の当レポートでもこの制度の問題点に触れましたが、まだ現実に導入されていなかった為か、あまり反応が有りませんでした。

制度導入の趣旨は、世代別の医療費を比較すると、国民医療費の51%以上が65歳以上の方に掛かるものであり、70歳以上で区切ると全体の41%、75歳以上の方で全体の28%となることから、医療費の掛かる世代を切り離して別管理をしようというものでした。

保険という制度は保険を使う人と、使わない人が適度な割合で存在してはじめて成り立ちます。事故を良く起こす人ばかりを集めて自動車保険を組成したらその保険会社は成り立ちません。

人間は若い頃に全く病気をしなかった人でも、加齢と共に持病の一つや二つは抱える様になります。そう考えると75歳以上の方だけで構成する後期高齢者医療保険制度は保険としては成立しない制度ということになります。

今、取るべき政策は75歳以上の方を別の健康保険に切り分ける政策ではなく、むしろ政府管掌保険、共済組合、健康保険組合、国民健康保険と多岐に別れている健康保険を一元化し、誰もが一生を通じて同じ一つの健康保険制度に加入する制度改革だと思います。

国民健康保険等よりも、大企業の健康保険組合や国家公務員共済・地方公務員共済の方が財政状況が良いと言われます。

健康な人の方が国や地方自治体あるいは大企業に採用される傾向が強く、健康な人の方が同じ職場で長く勤務する為だからです。

公的健康保険の本旨は、共に助け合う共助にあるので、持病を抱えている人も健康な人も同じ健康保険に加入し、同じ料率の保険料を払う方が公平です。

国民年金、厚生年金、共済年金の一元化と併せて、様々に分かれている健康保険制度を一元化することが本来のあるべき改革の姿だと思います。