10日の東京証券市場もロンドン市場も、そしてワシントンで先進七ヶ国蔵相・中央銀行総裁会議(G7)が開催されている間のニューヨーク市場も続落でした。自分は株をやらないから株価の下落も関係ないという方も多いかもしれません。しかし、これは世界恐慌以来の危機です。市場関係の知人曰く、「視界不良の雷雨の中を目的地が分からず飛行しているようなもので、まだまだ出口が見えない状況だ。」と話していました。そして、対処法を誤れば実体経済にも甚大な影響を及ぼす可能性がある所が重大です。

1920年代末の世界恐慌から専門家が学んだ教訓は、「株価暴落は自然に手当できるが、信用収縮(=金融恐慌)は資本注入できちんと手当てしなければならない」ということでした。日本のバブル崩壊時にも資本注入が遅れた結果、傷が広がりました。国民も経済的に苦しむ中で、巨額の税金が銀行やバブル企業を救う為に浪費されるというイメージがどうしても持たれるからです。しかし、深い傷を負った銀行が長らく貸し渋りを行った結果、実体経済へ与えた甚大な影響はまだ記憶に新しい所だと思います。

日本の銀行に勤める人の何百倍も稼ぐ海外の投資銀行に勤める人を救う為に、何故我々の税金を使う必要があるのかという米国納税者の想いは、私にも良く理解出来ます。日本の金融国会での審議に際しても、何故経営者に責任を取らせない中で税金を投入するのかという議論が展開されました。当然、経営者には私財の提供を求め、法令違反があれば罰するべきです。しかし、株価の暴落が融資の収縮(貸し渋り、貸し剥がし)を通じて実体経済の活動にブレーキをかける可能性があるから、出来るだけ速やかに公的資金を金融機関の資本という形で投入する必要があります。

我が国としても過去の経験に照らして、欧米諸国に早急で且つ大胆な税金投入の確立を求めると同時に、少なくとも国内では貸し渋りが発生したり、預金者の不安が嵩じない様な対策をうつべきです。その為に、与野党の叡智を結集し、早急に結論を得るべきだと考えます。