近く開催される臨時国会で新しい総理が指名され、間を置かずに解散・総選挙という政治日程が略確定したと報道されています。今度の選挙で表面的に問われるのは政権交代です。しかし、それらは政策実現の為の手段であり、目的ではありません。問われるべきは何を今後の五年、十年のうちに行うかです。日本はますます高齢化が進み、増加する年金、医療、介護等の社会保障費用を如何に社会全体で賄う体制を築くかということが大変重要な政治課題となります。

人間は加齢と共に持病を抱えることが多くなるので、平均値で言えば70代の方は20代方の何倍も医療費がかかります。若い頃健康で一切健康保険のお世話にならなかった方が病気を抱える様な年齢になったら後期高齢者医療保険制度の下、様々な受診の制限を受ける様になれば怒ります。後期高齢者医療保険制度は廃止します。年金も受給者が増えたからと言って支給額を減額するということでは多くの方が不安に思うのは当然でしょう。社会保障費用そのものの削減を目的とするのも誤りです。

考えるべきことは、如何に増加する一人当たりの費用負担を超える様な収入増を実現するかということです。月収30万の中から1万5000円の社会保険料を負担している人の月収が50万になって負担額が2万5000円に増えても文句は出ません。しかし、月収が30万で変わらないのに負担が1万5000円から2万5000円に増えれば文句は出ます。だから、日本全体で生産性を向上させて10年後の所得倍増を目指す様な政策が必要です。平成版所得倍増計画です。

実現に向けて必要な政策は、短期的には行政等の非効率なセクターの効率化、農業等規制の関係で生産性向上がはかれていない分野の改革、そして金融の制度改革により中小企業の資本性資金の貸し出しに掛かる査定の変更により資金供給を円滑化することなどが考えらます。中期的には既存技術の組み合わせにより新たな製品やサービスの提供、長期的には基礎技術の研究による人工光合成によるエネルギー・環境の革新的変化や脳の研究等による新時代コンピューターの開発等が考えられます。いずれにせよ、夢を持って今後の日本の難局に立ち向かいたいと思います。