世界的な経済危機への各国の対応が注目を集めています。そうした中、二次補正予算の今臨時国会への提出が見送られることで、我が国の対応が大幅に遅れることが決定しております。今臨時国会で成立している第一次の補正予算は世界規模での株式市場の下落以前に編成されたもので、世界同時不況の対応案ではありません。

今、為すべき対応は如何なるものか?百年に一度とも言われる世界的な不況だとの非常時であるという認識の下、経済の血液たるお金の流れを円滑にする為に必要な政策を打ち出すことがまず大事です。これはある程度現在審議中の金融機能強化法で対応出来ることも事実です。但し、その際にはモラルハザードを防止する観点から真に経営責任を負うべき人の責任もしっかりと追及出来るメカニズムも組み込む必要があります。それがないと税金投入に対する国民の理解が得られません。同時に、本来競争力があり一時的に世界的な不況の大津波をもろに受けている企業についてのつなぎの資金が行き渡る政策融資の仕組みの構築も重要です。

将来に向かって意義のある政策を打ち出すことも大切です。直ぐには芽は出ないけど三年後、五年後に成果の出る改革案に今取り組む必要があります。具体的には、農業の自給率や産業としての生産性を高める為の農地法改正、巨大なソブリンウェルスファンドたる郵貯資金の運用条件の改革、省庁間の定員配分の大幅弾力化、国税庁と社会保険庁の統合、そして医療分野の従事者を増やすと同時に共通の医療システム導入による効率化と言った様な改革案を各分野においてただちに実行に移すべきです。そして、十年後に芽が出る基礎研究に思いきって国税を投入すべきです。人工光合成や脳の研究など民間がまだ取り組むには成果が出るのが先だと思われる分野こそ、大事です。

今取り組んで直ぐに成果が出ること、今取り組んで三年から五年後に成果が出ること、そして今取り組んで十年後に花開くこと、どれも今から取り組むことが未来の為に役に立ちます。アメリカで47歳のオバマ大統領が選出されましたが、五年後、十年後にも責任が持てる世代の人間が包括的な政策を今打ち出していくことも政策面での信頼感の醸成につながります。政策面での期待感、信頼感は政治に対する安心感につながります。