プロフィール

定年退職を迎え、第二の人生を満喫中。

若い頃は小説家を夢見て、

物語の世界に没頭していた日々。

アイデアを練り、言葉を紡ぎ、

時には夜を徹して書き続けたことも。

時が経ち、別の道を歩むことになったが、

創作への情熱は今も胸の奥に。

趣味に遊びに、気の向くままに過ごす日々の中で、

あの頃の夢を思い出しながら新しい発見を楽しむ。

読書、旅、料理、ちょっとした散歩

何気ない時間こそが最高の贅沢。  

そして、過去の夢を今更ながら追いかけてるよ


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短編小説、1

《再び、ペンを執る》


その男は、長い人生の道のりを歩み終え、静かに机に向かっていた。

傍らには年季の入ったノートとインクの染みた万年筆。

かつて憧れた作家の夢は、家族を守るために遠い過去のものとなっていた。

しかし、それを悔いたことは一度もない。 


若き日、彼は物語を紡ぐことに情熱を傾けていた。

言葉を紡ぐたびに、自分の世界が広がり、心が満たされていった。

だが、現実は甘くはなく、

安定した生活のために、別の道を選ぶことを余儀なくされた。

家族を養い、子供たちを育て上げ、気が付けば時は流れ、

自分自身の夢よりも大切なものがそこにあった。


そして今日、定年を迎えた彼の前には、何の制約もない静かな時間が広がっていた。

ふと、奥底に眠る記憶が蘇る。

「書いてみるか…」彼は呟くと、

のかつての情熱を確かめるように万年筆を走らせた。


初めてペンを握った少年の頃の記憶。夜通し机に向かい、物語の世界に没頭した若き日の感覚。それらが、言葉となって紙の上に形を成し始めた。長年の間、彼の心の片隅で眠っていた物語が、再び動き出したのだ。


夢を捨てたわけではない。ただ、大切なもののために、一時しまい込んだのだ。そして今、人生の新たな章として、再びペンを執る。  


静かな書斎の中、紙の上で言葉が踊り始める。その男の目は、かつての少年のように輝いていた。


最後まで、読んでくださって

ありがとうございました。