こんにちは。
Asa音楽教室のさゆり先生です。
昨晩小澤征爾さんが亡くなられたニュースが入ってきました。
日本のクラシック界にとって大変残念なニュースです。
私は音大受験の時に習っていた先生の主催する団体でオペラと出会い、大学時代の恩師の蝶々夫人を観て感動し、その後ずっとオペラの勉強をしてきました。
そして、もともとかなりのヘタクソだったわたしが、留学から帰り、オーディションでご縁を頂いて合唱団の一員としてタイトルにある小澤征爾音楽塾のヨハン・シュトラウスⅡ作曲『こうもり』に参加させて頂けたのは大変ありがたい事でした。
8年前のちょうど今頃。
若くエネルギーと才能に溢れた仲間たちと稽古〜公演中の1ヶ月近い時間を京都で過ごし、一流の海外の歌手の歌を間近で勉強させてもらい、ニューヨークのMETで使用されていた素晴らしいセットや衣装に身を包み、極めつきに小澤征爾さんがいらっしゃいました。
小澤征爾さんの指揮は何がすごいって、ワクワク感です。
1番すごかったのは前奏曲でした。
物語の予告編ともいえる前奏曲はワクワクドキドキと色っぽさとの濃縮形。
いつ高まりが来るんだろうという溜めとスピードアップしていく高揚感、そして最高潮のテンション!全てが絶妙で今までにない体験で、こんな素晴らしいプロダクションに出演できているという感動と興奮が全身に満ちた、最高に幸せな時間でした!
指揮者って演奏家のモチベーションを高めるんですよね。
でも小澤征爾さんはそれだけじゃなかった!
不思議なんですが、彼が振るとウィーンのリズム、ウィーンの音が鳴り始めるんです。
ウィーンというところはクラシック音楽の聖地のような土地で、独特な音楽性があります。
3拍子の感じ方や音の抜きかたというか…詳しくは説明できませんが方言のように独自性があるのです。
それが小澤征爾さんが振り出した途端にヨハン・シュトラウスⅡの音楽が目覚めたかの如く、音楽が生き物のように生き生きと血が通ったようにきらめき、踊りだし、つややかなウィーン色になるのです。
合唱団はそれにのせられて歌い踊り狂い、心からその空気を楽しみ、心から笑いました。
あんな経験はこの先もうないかもしれません。
小澤征爾さんは若かった私たち音楽家に音楽とはどういうものか伝えようと、あのような素晴らしいプロダクションを用意してくださり、そのおかげで私たちは大変貴重な時間を過ごせました。
改めてお礼申し上げるとともに、ご冥福をお祈り致します。
そしてまた微力ながら、本物から得た経験をこども達にさらに分け与えていくことが、偉大な先輩方への恩返しだと思い、より一層精進しようと思います。
確か衣装写真や舞台写真は著作権の関係で載せられないので、楽屋の入り口の写真でも思い出としてのせてみますね