入院手術を受けてからずっと学会発表や論文執筆が出来ないでいました。

どれだけ、”頑張って”汗だくになり仕事をしていても、結果を残さなければ第三者は評価してくれません。

ボデイビルの世界でも、身体を作り大会に出て披露して始めて評価されます。

外科手術で言えば、結果をしっかり残す、患者さんに喜んでもらえる。

これが全てですが、それを”どう”記録に残すかが大切です。

手術記録、論文は、時に”日記”になってしまいます。

手術をしたこともない外科医が読んでも、したいと思っている若手が読んでも、”嫌味なく”伝わらなければなりません。

僕はそれが出来ない。

皮膚にメスを入れ、皮下組織、筋膜、そして筋肉、骨、神経、それを取り巻く血管、内臓を目で見てあるいは触り、どうどけて、あるいはしょうが無い場合犠牲にして、病変に達するか、達してからどう処理するか、何が起こり、どう対処するか、処置後、どう戻ってくるか、その間に何に気をつけないと行けないか、なるべく詳細に記載します。

ある意味、旅の記録。

旅には事件がつきもの。

それらを詳細に記載しておく。

10例、そして100、数をこなしているうちに、他の人が気づいていない”何か”に出逢います。

僕はその気づいたことを”論文”にしてきました。

でも、”アクセプト”されなかった。

ジャッジのつれない言葉、”ただの随筆、加筆も不要、論文に値しない”。

ボデイビルコンテストでも、たまにいますね。

思い込みのポージング、大したことのない仕上がりで態度のでかい選手に、こうした方がいいよ、とコメントすると、”キレちゃう”人(男女問わず)。

僕はキレませんが、拗ねちゃう。

だから大学に残ることもできなかった。

それでも懲りずに小さなペイパーや研究会で発表していると興味を持って聞いてくれる先生がいます。

昨日は、そんな僕の研究テーマである病変の治療をしてきました。

例えばこの環椎軸椎部。

よく使う場所、負担がかかる場所は、毎日監視修復が行われているます。

それが免疫システムですが、そんな守り神も時に”キレて””暴走”します。

昔はその暴走した場所に入って行けませんでしたが、そしてそこを避けて治療していましたが、時間をかけ丁寧に、進歩した器械類の助けを借りて改善させることができる時代になりました。

免疫の素晴らしさと脆さ、優しさと隣り合わせの暴走。

僕は、科学的ではありませんが、自分の言葉で記録を残して行けたらなと思っています。

この写真、専門にやっている人たちが見たら、僕のオリジナリティだと解ります。

これをある有名な大学に”勝手に”パクられた時、少しショックでしたが、論文を書けなかった僕の力不足。

めげずに発信し続けています。

体力と粘りに確実に衰えを感じるこの頃ですが、依頼されると励みにもなりもう少し続けて行けそうです。