ほぼ半日新聞 -2ページ目

止まらない崖っぷち

最近、海外ドラマを見るのが趣味だ。
「24よりおもしろい」
というCMに惹かれて借りた「lost」からハマった。
飛行機が墜落して助かった人たちが島で生活する話なんだが、これがただのサバイバルアクションではない。
殺人罪で逮捕され移送中だった奴、医者だけど人生に迷いまくりの奴、ミュージシャンだけど麻薬中毒の奴、夫なし妊婦、などなど人生最悪の転機に立たされてる崖っぷちで墜落したからさぁ大変。墜落を機会にやりなおせるなんて思っちゃったりして。
さらに謎の中国人夫婦、墜落した瞬間から神に感謝していた老人、謎が次々と明らかになる。
しかし、墜落した島もおかしい。謎の生物がいたり、子どもさらい集団がいたり、以前にも飛行機が墜落していたり。
謎がとけては謎がでてくるスリリングな展開。次第につながっていく登場人物の過去、巧妙に張られた伏線によって、一話一話が完成しているというか、一話だけ見ても楽しめる。
シーズン1を見終わった瞬間シーズン2のレンタルはいつからかTSUTAYAに電話してやろうかと思った。lost知らん奴は人生損してるよ!と思うくらいだ。まぁ、見てしまった人はシーズン2まちきれなさにイライラしまくりだろうしどっちが損かわからないが。
24にも少しハマったがlostにくらべたらレンタル料半額にも納得だ。私の中では24はlostの半分もおもしろくない。まぁ、それでも24もすごくおもしろいんだけどさ。しかし、そのlostの上を行くおもしろいドラマがあった。
「デスペラードな妻たち」である。
タイトルからするとあまり好みじゃなさそうと思っていたら、lostの中に第一話だけおまけで入っていたので見てしまった。見るんじゃなかった。この妻たちのせいで何度平日に夜更かししたことか。
こっちが次の日デスペラードな(崖っぷちな)ことになるっちゅーの。
旦那ちゃんを裏切って先をどんどん見て喧嘩勃発したり、TSUTAYAに通いすぎて財布も崖っぷちになるところだ。

そんな妻たちが住んでいるのはちょっと高級志向の閑静な住宅街。主人公メアリーアリスは素敵なおうちに住む平和な主婦♪何不自由ない彼女の自殺から物語ははじまる。始まって15分で主人公が死ぬ?でも幽霊ものではない。彼女の葬式に集まる近所の住人たちはみんなちょっと変。でも愛すべき人たちである。
この主人公メアリアリスは崖っぷちから墜ちてしまったが、葬儀にきた親友四人組は自分たちも表面上は幸せなものの、中身はめちゃくちゃ崖っぷち。それでも彼女の自殺の原因を探るべく立ち上がる。
フルハウスの様に見やすいコメディタッチではあるが、深い。
自殺の謎を巡るサスペンス、人間関係、ちょっとした出来心がとんでもないことになってしまう展開、ときどきあまりのひどい展開に号泣しながらも数日たつと元気になんとかしていく姿を見ていると、夜更かししてしまったのに、次の日にはなんだか元気になってしまう。
この妻たちに出会うと、少しだけ強く明るい気持ちになる。
タイトルに騙されて女性むけと思っていたら大間違い!
全米大ヒットで、アカデミー賞の授賞式に、デスペラードな妻たち見たさに後半授賞者が次々と賞を辞退したため、授賞式がドラマに間に合う時間に終了するよう一時間も切り上げられたという伝説のドラマ。大統領もハマりまくりだそうな。そりゃTSUTAYAに全巻10本ずつあるのに全部レンタル中だわな。映画のヒット作でもこんなにずっと借りられないなんてあんまりないよ。
私はもう半分以上見てしまったのだが、もうすぐ見終わってしまうのが怖い。楽しみがなくなるではないか。
まだ見てなくてこれから見ようと思ってくれたらその人がめちゃくちゃうらやましいよ。
全部ネタバレさせてやりたいくらいねたましい!
でも、この気持ち、ぜひ共有したいので我慢するわ。
お願い、見てください。

お面返上☆

以前、子どもたちがお面を作りたい!というので、肌色の顔型画用紙に絵を描かせて、目のトコロに穴を空けたお面を作ったら、これが大不評!
怖いと泣き出す子までいる始末。
特に、一面に赤のハートを描いた子のお面など、まるで顔面大やけど。大人でも夜中に見たら泣いてしまうにちがいない。
すまん、先生が悪かったよ…

そこで今日は汚名返上!恐怖のケロイド仮面のことを子どもたちが忘れたのを見計らって、私は再び、乳幼児お面界に殴り込みをかけた!

そもそも、幼児教育界でいうところのお面とは、頭の上につけるものである。
お遊戯会や運動会で顔の大きさのかわいい動物のついたヘアーバンド状のものを目にしたり、子どもの時に身につけたりしたことがあると思う。
しかし、私が挑んでいるお面は違う。本来のお面の形、顔を覆うものにチャレンジしたかったのだ。
うさぎちゃんをおでこにつけた子どもに目尻が下がる大人のためのものではなく、いないいないばぁ!感覚で子どもたちが顔を隠したり出したりして楽しむものが作りたかったのだ。



そもそも、きっかけは、夏祭りに行って仮面ライダーのお面を買ってもらった子が、園にそのお面を持ってきたことに始まる。
お祭りに行けなかった子がそれを見て、
「◎◎ちゃん(その子の名前)も、お面、ほしかったなぁ」
とつぶやいた。
保母さんたるもの、子どもの興味に出来るだけ寄り添うのが仕事であり、喜びである。
欲しいのにないなら、作ってみようか!
そんなわけでやってみたお面づくりであったが、上記の通り惨敗である。
だいたい、うちの園は平均三歳、一歳から五歳までの子がほとんどで、お絵かきは絵を描くというより、塗りたくったり点々を描くのがせいぜい。さらに視界をふさぎすぎないように目のトコロに大きな穴を開けねばならず、顔の大きさに切った紙に目の穴をあけただけでもう立派に怖いのだ。しかし作った子どもたちはお面をつけるのは喜んでいる。ただ、お面をつけた姿を見た子が
「こわいー」
と泣きついてくるのだ。
うーん…どうするかな。
そして、お面のことなど忘れた秋晴れのある日、雑貨屋さんでいいものを見つけた。
かぼちゃだ。
ハロウィンの飾りで作ってある画用紙のかぼちゃおばけはシンプルなのに、そしておばけなのにかわいらしい。
しかもうちの園にはフィリピンと日本のハーフの子が来ていて、みんな外国に興味しんしんなのだ。
これだ!
フィリピンにハロウィンがあるとは思えないが、これなら怖くてかわいい、すてきなお面が出来るのではないか。
さっそくオレンジ色の画用紙で人数分のかぼちゃを作る。
△の目の穴とギザギザのお口の穴をあければ、りっぱにハロウィンのかぼちゃおばけである。
なんだかそこはかとなくオシャレな雰囲気すらある。
イケる!今回はイケるぜ☆

そんなわけで今回はカボチャオバケのお面を作った。
「これ、みたことある?」
と、昨日の夜なべの成果を見せると、口々に
「スーパーでみた!」
「ジャスコでみた!」
とノリノリ♪
これはかぼちゃのおばけなんだけどさ、みんなで今日はこのかぼちゃのおばけになろっか?
おばけだからこわーいお顔になるようにみんなでじーじー(字×2。お絵かきなど紙に何かかくこと)してなー
と呼びかけると
聞いたことないような気持ちのよい
「はーい」
のお返事。
実際は、ギザギザのお口から破れないかな?という失敗もあったが、みんな上手に穴をよけて描いている。
時々
「てんてー(先生)見て!おばけだぞー!」
なんて見せてくれるから私もノリノリで
「うわーこわいー」
なんて震えてみせる。
あぁ楽しい。
秋晴れの昼前の日溜まりの中で幸せをかみしめる。
普段トイレに行かない、あるいはおむつ替えの時間になると逃げ回る、喧嘩する、おもちゃをなげる、引き出しの中身をぶちまける、寝てくれない、起きてくれない、などなど、怒っては業務に明け暮れて、しんどいんだけど、こういう瞬間に、全部吹き飛んでしまう。
保育業界の人なんてみんな懲りない奴らなのかもしれない。
あの笑顔を見たら無茶なシフトも厳しい先輩のきつーい一言もチャラなのだ。
子どもの表情には不思議な力が宿っているのだろうか。それは育児のしんどいことから育てる人を救うために、子どもたちがもって生まれた神様からの贈り物だ。

口々に
「おばけだぞぉ」
と言いながら
脅かしあっている子どもたち。
ほんとにかわいいんだから、うちのおばけたちは(*´艸`*)

鍋開き

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今日は今シーズン初めての鍋大会を開催した。
といってもただの鶏鍋だけど。
旦那ちゃん(仮)は仕事柄運動量は少なくないはずなのに女の子ばりの少食だ。
低燃費なのか?うらやましいかぎりである。
その低燃費の彼が、唯一山盛り食べるのが鍋とカレーである。

また、鍋は材料を切るだけなので私も楽だ。
そんなわけで、我が家では白菜四分の一が百円を切ったら即、鍋である。旦那ちゃんの栄養価を安定させるには定期的な鍋大会は、長袖の時期にはおてがるかつ、不可欠である。
ただの鍋とあなどるなかれ、そこは「大会」である。
私が準備をしているほんの20分の間に旦那ちゃん(仮)はTSUTAYAでDVDを借りてくる。大会はもう始まっているのである。
DVDのチョイスは大会の行方を決める大事な選択である。
一瞬でも見逃してはわからなくなるようなものはだめである。メインは鍋なのだから常に鍋に気を配りつつ、ながら鑑賞しても差し障りのないものを選ばなければならない。
また、サプライズ色の強いものやホラーも禁止である。なぜなら、うどんの汁がはねたり、煮えたぎった豆腐をとろうとして、映画に驚いて取り落とした日には大惨事になりかねない。
今回の旦那ちゃんのチョイスは「ナルニア国物語」。なかなかのものだ。
ほっておくとすぐジャッキーチェンを借りてくるから気をつけなければならない。ジャッキーは先週大阪テレビで見た、と嘘でも釘を差しておかなければならない。
旦那ちゃん(仮)の帰宅、いよいよ大会のスタートだ。
点灯式にはじまり、今夜の鍋奉行の私を中心に皆(二人と一匹だが)が独自のルールで立ち回る。
うちのルールは、
◎うどんはおたまに一度とってからよそう(うどんが鍋の端について焼けると洗うとき厄介だから)
◎食べたい具を見つけられないときは深追いせず、同席者に見つけたらとってもらえるよう頼む。(深追いすると豆腐や煮くずれする具がくずれるから)
◎上記をのぞいては、自分の分は自己責任で食べる(とってあげることや、一度とったものを戻すのは禁止)
◎灰皿、飲み物はテーブル(今日はちゃぶ台)の下に置く(飲み物がぬるくなったり、物が邪魔になるのを防ぐため)
◎あくとり禁止
◎スープだけとって飲むのは一回の大会につき、茶碗一杯まで。
など。
中でも変わったルールは、
◎あくとり禁止
ということであろう。
アクは実はうまみの固まりなのである。鬱陶しがることなかれ、まず、とらずに具に絡まぬよう静かに見守ること30分、いつの間にかアクは消え、豆腐を崩したりうどんが煮くずれたりしない限り澄んだ美しいスープができあがる。
これぞ、この大会のシメ、雑炊のための、材料のうまみの出たありがたいスープなのだ。こうなると調味料など塩のみで十分である。せっかくのスープを濁らせないようにごはんは水洗いしてぬめりをとっておくのも忘れずに。
こうしてたゆまぬ努力のたまもの、雑炊ができたころにはナルニア国にも春が来ている。
この映画も、どうせ原作負けのファンタジーだとあなどっていたが、なかなかおもしろかった。剣などのアイテムがそろっていくところや、アスランというライオンが男気を見せて仲間の犠牲になるところなど、少年魂をくすぐるシーンが多く、CGもきれいで動物たちが可愛らしく、衣装なども上品ですてきなので乙女心もがっちりつかんではなさないだろう。殺傷シーンもあるので本物のお子さまにはオススメしないが、見た目は大人、頭脳は子どもの方はまぁまぁ楽しめるだろう。
ラストシーン、雑炊をすすりながら、私と旦那ちゃんは魂を抜かれたようにエンドロールを見つめていた。ほんとうなら現実世界にもどるのに一分はかかるところだか、そこは主婦の卵、残りの雑炊をジップロックして、洗い物を済ませてしまうまではぼんやりしてはいられない。
このあと、「デスペラードな妻たち」(はまってる海外ドラマ)を見ながら、鍋で火照った体にアイスクリームを送り込むことこそがこの大会最後の大切なイベントなのだ。
家に帰るまでが遠足、シャワーを浴びるまでが運動会!
片づけてアイスクリームを食べるまでが鍋大会なのである。

ご挨拶?

父がトイレからでてきて、いざふぐ屋へ。
旦那ちゃん(仮)はお父さんから言ってくれて助かったと言ってくれていたが、私はせっかくの機会を逃してがっかり気味だ。せめてごはんだけでも、いい思いをしたいものだ。
おとずれたふぐ屋は身内だけで楽しくやっている居酒屋風、というか焼き肉やさんじゃないの!
奥の座敷ではすでに常連客が泥酔しており、店の主人もできあがっている。
父がとりあえずふぐのコースを人数分たのむと、店の主人は
「できるかなぁ」
とのたまった。
こんな日にふぐ中毒で死ぬなんてごめんだ。

店の主人はふぐの調理係を呼ぶから、と電話しだした。今から呼ぶの?大丈夫かな。
元は焼き肉屋であるため、母と父の席と私と旦那ちゃんの席の間には大きな煙排出機がぶらさがっており、たいへん話しづらい。
しかも店内には泥酔したほかの客の大きな声に加えて、大音量で演歌がかかっている。
なぜか不倫系の歌ばかりでいったい何のつもりでこの店にしたのか、母のセンスを疑う。
しかも、話していると途中でかならずふぐ屋の主人が割り込んでくる。
たとえば、父が
「趣味はなんかあるの?」と尋ねると
旦那ちゃん(仮)が答える前に、ふぐ屋のおやじが小指をたてて
「もちろんコッチ(女)やろ!」
といった具合。
ちょっと黙っていて欲しい。
ちなみに旦那ちゃん(仮)はいかがわしい店に行ってもいかがわしいことを出来ずに終わるタイプである。以前セクキャバに連れて行かれて、照れすぎて乗っかってきたおねいちゃんに「ごめん、ちょっと重たいー」と言って泣かせたと言う逸話を持つ、ものすごい照れ屋さんだ。
旦那ちゃん(仮)が「趣味は女」について否定すると、ふぐ屋の主人は、「なんやむっつりスケベタイプか?こっちのおっさんみたいに明るく助平しなあかん」
とのたまった。
よけいなお世話である。
店の主人のセクハラに耐えること30分、やっとふぐの刺身が出てきた。ももじろうのふぐから揚げしか食べたことのない私はドキドキしながら最初の一切れを口にした。ポン酢をつけすぎたのか、あまり味がわからない。
今度はなにもつけずに食べる。
ウマーー!
飲み込むのがもったいないくらいである。

すると店の主人が、
「このお嬢ちゃんは通やなぁ。通な上からテクニシャンやろ。おっちゃんぐらいなったらふぐの食べ方でわかるねん」とのたまった。
両親と未来の夫という、そういう話はしないでほしいメンバー勢ぞろいのなかで、私は
「こういう子には前戯をきっちりしたらなあかん」
などと恥ずかしいことばかり言われた。
もうこうなったら食べることに専念するしかない。
そのあと、焼きふぐ、ヒレのにこごり、てっちりと、私はセクハラおやじのセクハラを流しながら食べまくった。食べてはビールで流し込んだ。もう家族団らんなんてどうでもいい。
私はふぐ消化マシーンだ。
てっちりのだしが特においしく、雑炊など持って帰りたいくらいだ。

そんなわけでなんとか様々なトラブルにもめげず、会は終了した。父に旦那ちゃんの名前がわかっただけでも無駄でなかったと言えよう。
また、このような家族を持つとロマンチックとは無縁になるのだと大変勉強になった。
ロマンを求めて身を持ち崩すより、かっこわるくても仲良く平和に生きたいものだ。
しかし、世の中のお嫁チャンはこのような数々のはずかしいことを乗り越えて、強くなっていくのだなぁ。私もがんばろうっと。

ご挨拶?

さて、食べ物とプロポーズの言葉ばかり期待して実家についた私と、緊張しまくりで険しい顔になってしまった旦那ちゃんは171号線の渋滞で20分ほど遅れて私の実家に到着した。
「ただいまー」
と家に上がると、気持ち悪いくらい片づいている。気合いをいれて掃除してくれたのか、と早くも涙腺がゆるむ。

しかし!

いないのだ。掃除をした本人が。

片づきすぎてがらんとしたダイニングに父だけが座っており、母がいない。
どういうことだ?我が家で一番のトラブルメーカーが早くも発動したのか?!
「お母さんは?」
と聞く前に思わず、
「ごはんは?」
と質問する。
ごちそうどころか、鍋や洗い終わった食器すらない台所。
「まだ食べてない」
と父。いや、そうじゃなくてさ…

「おかぁはんは?」


「知らん、二階にいる」
え、えぇっ?
まさか私たちが来る前にすでに夫婦げんか勃発?
二階に呼びに行くにも、旦那ちゃん(仮)を父と二人にするのもかわいそうだし。
「とりあえず、お茶いれるわ」
とお茶を入れる私。
仕方なく、
「おい」
と二階に声をかける父。
しかも、普段、父と母の二人暮らしの家なので、テーブルにはいすが二つしかない。
まいった。気まずすぎる。
何度か父が呼びかけると、やっと
「はーい、わかってるよぉ」
と母の声がした。よかった。機嫌は悪くなさそうだ。
ていうかわかってるなら早く来てよ!

母が降りてくる気配がしたので、お茶菓子は?と聞くと、あーなんもないよ、と気のない返事。
父が文句を言いそうな空気になったその刹那、旦那ちゃんが持参したおみやげをだしてきた。
「あぁ、これ、つまらないものですが」
でたー!お茶菓子!ナイスフォロー旦那ちゃん(仮)!
「ああ、わざわざすいませんね」
と受け取った父の後ろから、本日の主役、いや心配の種が顔をだした。

「ごめんねーいろいろしてたら遅くなっちゃった」
と登場した彼女は、見たことないような髪型をしていた。
パーマをかけた短い髪を無理にアップにしている。
頭頂部の髪が少なくてぺたんこなのをフォローしたかったのだろうが、ねじって無理に小さなリボンのピンを差した様子はさながらおしゃれした短毛のマルチーズだ。
そして服!黒のキャミソールの上に透ける素材のモスグリーンのワンピースを着ているが、白い肩パットが思いっきり透けて見えている。
そしてなにより化粧である。やたら眉毛が濃い。この状況でなかったら指を指して笑ってやりたい。
絶句する私の横をすりぬけて、「いろいろした」彼女はいそいそとお茶を入れだした。
仕方なく旦那ちゃんの横にピアノ用のいすを置いて座る。
気まずい雰囲気に二秒しかたえられなかった父がまっさきに口火を切った。
「名前なんだっけ」



凍り付く一同。

はぁ?


「あっ、申し遅れました、○○です」
焦って答える旦那ちゃん(仮)。いや、君は前に何度も名乗ったよ。君は悪くないよ。

「あっ、なんかに書いておいて、おぼえられんからさ、紙出すわな」
と父が出したのは、スーパーの広告。
思わず
「いやーその紙はないでしょ」
と私がつぶやくと
「つるつるの方がいい?」
と父。いや、そうじゃなくてさ。
「じゃこれで」
と旦那ちゃんはそこに丁寧に名前を書いた旦那ちゃんに
「小さいと見えんからおっきくね」
とリクエストする父。
ボールペンででっかく書き直された名前を眺めて「立派な字ですね」
とご満悦。
ひとまず、嫌がらせではなかったようだ。
旦那ちゃんと胸をなでおろしていると、
「おーい、これ貼っといて」
と父。
いいとものタモリさんかよ!
冷蔵庫に貼られた旦那ちゃんの名前をバックにふたたび気まずさが流れる。
その間、三秒。またもや緊張に耐えられず父が言葉を発した。
「で、いつやっけ?結婚するの」

「はい、今年中を予定しておりまして…」
つつがなく答える旦那ちゃんの横で私は目をうたがった。
本日のトラブルメーカーが何かやらかしている!でかでかと書かれた旦那ちゃんの名前の横にさらにでかく、赤い色で
「◎今年中!」
と記入している。
書かなくてもそれくらい覚えてよ!

目を見張る旦那ちゃん。
「じゃ、そういうことで、ね」
もう席を立つ父。
「どこいくの?」
「おしっこ」
お茶くらい飲もうよ。

父の座っていた席に母が座ってお茶を淹れだす。

なんなのこれは?
私はふたたび質問した。
「ごはんは?」


「あーなんか食べにいく?掃除しておしゃれしてたら時間なくなってさ」
そんなわけで、私たちは母が一度行ってみたかったという、ふぐ料理の店に行くことになった。

なんという間抜けな展開。しかし、こんどこそごちそうとドラマが待ち受けているのかもしれない。

あまり期待せずに、
長くなったので次回に続く。

ご挨拶

昨日はうちの両親に旦那ちゃん(仮)が挨拶に来てくれた。
緊張して顔がこわばり、無口になる旦那ちゃん(仮)をよそに、私は嬉しくてなんだかぼんやりしていた。
先日、母に挨拶に行くと電話すると
「なに食べたい?」
などといそいそしていたし、彼女の機嫌さえ良ければ、すべてのうちのイベントはうまくいくと思って良い。心配することはなにもない。
会場が実家なことも嬉しい。お金もかからないし、片づけの心配もなく、寝てしまっても良い状況で酒を飲めるなんて最高だ。
母には二人とも好き嫌いないからなんでもいいよーなんて言ってみたが、実際は、
寒くなってきたから鍋もいいな、などと期待している。
お客様だからやはり、水炊きではなく、お魚の鍋だろうか。奮発してカニもすてがたい。
もしくは、すきやきや、ちらし寿司、外からとった寿司に母が作ったおかずでもよい。
持っているスーツの中で一番上等のものをバシっと決めた旦那(仮)の横でなるべくたくさん飲み食いしようと、妊婦のようなウエストに締まりゼロのワンピースでよだれを垂らす私。もちろん一張羅などではなく、食べこぼしもOKの、むしろ汚れてもいい服である。

期待しているのはなにも食事ばかりではない。
私は旦那ちゃん(仮)にきちんとプロポーズをされていない。今日が、旦那ちゃん(仮)が、私の前で結婚の意志をはっきりしめす初めての日となるのだ。
「娘さんを僕にくださいっ」
とか言うのだろうか。
そんでもって険しい顔をした父が
「かまわんが、………一発殴らせろ」
とか言っちゃって。
殴りかかった父を軽くよける旦那(仮)、怒りにふるえる父。
「お父さんのパンチもよけられないようでは○○さんは守れませんから」ニヤリとする旦那ちゃんに、父もためいきと共に苦笑い。
「君には負けたよ。娘は頼む」
二人、堅く握手。
みたいな展開に?!
もしくは母の料理を食べた旦那ちゃん
「うまい!○○さんも、こんな料理を作れるようになるなら一緒になりたいな」
母「まぁ、ここに来る前から結婚するつもりだったくせに」
私「そうなの?!」
旦那ちゃん(仮)「バレちゃ仕方ないな、薄々気づいていたとは思うけど、結婚させてください」みたいなのもいい。まぁそれはないか。
良くも悪くもどんな夫婦にも結婚式以上にドラマのありそうなこのイベント、はっきりいって結婚式よりずっと期待している。
だいたいめんどくさがり屋の母が、仲の悪い父や知らない人の旦那ちゃん(仮)の分まで、私のためにごちそうを用意してくれるというだけでも、私にとっては感動的である。
せいぜい、甘えるという名の孝行で答えさせてもらおう。


感動のイベントの様子は
また明日☆

○○すぐ○○ない

最近の子はまっすぐ走れない、顔から転ぶらしい。
先日、お友達の息子さんの運動会を見に行ったが、最近の子はダンスがうまい。
しかし走るのがど下手だ。運動場のトラックをきちんと曲がれていないため、リレーではカーブ地点で大混戦だ。そのわりにバトンの受け渡しは上手。わからないものである。

よく言われるのは、今の小学生の運動能力の低下は、運動不足と、乳児期のハイハイの不足である。
なんでハイハイくらい、思い切りできないの?

子育ては母親一人の仕事ではないし、子どもの成長=親の通知表ではない。
にもかかわらず、早くつかまり立ちできたらほめられ、しゃべれないと心配しまくる親。
でも、情報がなかった時代の方が子どもはまともに育っているのではないか。

うちの園でも、トイレトレーニング中でトレパンのなかでおまたが真っ赤に荒れている子がたくさんいる。

でも、トレパンマンがなかった時代、子どもだった人たちで大人になってトイレで用を足せない人、まだいる?

いつまでもかわいい赤ちゃんでいてね、なんて思っても子どもなんてみんなすぐ大きくなるんだし、手間がかかる小さい人たちでいるうちは、急がず焦らずかわいがってあげたいと私は思う。
そのうちおしっこしたかどうかなんて教えてもくれない日が来るのだから。ママなんて単語、知ってても口に出さなくなる日が来るのだから。
古い友人が西原式で息子を育てている。簡単な離乳食があふれている今、自分の体調管理から気をつけなければならない母乳育児は想像を絶する大変さだろう。
赤ちゃんでいるうちにたっぷり赤ちゃんを味わったその子は、幸せ者だ。
便利な時代だからこそ、なるべくスローに、その子らしく育てたい、と思う今日この頃である。

お月見

今日は一年で一番お月様の綺麗な日だ。
というわけでお月見ドライブと洒落こんだ。
まぁ、仕事帰りに遠回りして川沿いを自転車で走っただけだが。
明日ゆっくり縁側でお団子でも食べよう。
一人では月の光はさみしく感じるものだ

半日。

仕事がここ二ヶ月ほど、早番(朝七時から午後二時まで)と遅番(午後二時から夜九時まで)が代わる代わる、という無理なシフトで、遅番の次の日の早番だと、夜九時に終わって翌朝七時半から仕事なので、職場から家が遠い私は、十時半に帰宅、六時半に家をでなければならない。
いくら好きでやっている仕事とはいえ、拘束される時間が八時間を切るときつい。
しかも、きつい時間帯を配慮してか、早番だと六時間半、遅番でも七時間しか働けない分、給料も安くなる。
ほかの無資格のバイトさんや、有資格者のパートさんは九時から五時、または十時半から六時で、週一で遅番か早番なので私より楽なシフトなのに給料が高い。
年下のバイトさん曰く、「ほかに早番入れる人がいないから」
らしいが、ならばせめて早番と遅番のかわりばんこをやめて前半早番、後半遅番に固めていただきたい。
でないとこれじゃあ嫌がらせとしか思えない。

とかやさぐれていた矢先、突然私に幸福が降ってきたのだ。
木曜早番、金曜遅番、土曜早番というシフトだったのを今週だけ、土曜遅番にしてほしいと言われたのだ。
二つ返事でOKした。
うれしい。
休みが半日も降ってわいたので、今日は早番の後急いで寝だめすることもなく、雨なのに洗濯をし、買い物をして、レンタルビデオのTSUTAYAで大好きな海外ドラマをしこたま借りてきた。
手作りポップコーンも買って準備万端、今日は夜更かし!ポップコーンパーティー♪

とばかりに、ポップコーンを鼻歌交じりに作っていた。
はじけるポップコーン、あふれる笑顔。
いやまてよ。

今気づいたけど、祝日があるから土曜が早番だったら、土曜の午後から火曜の朝まで二日半も自由だったはずが、遅番では休日が始まるのは日曜の朝からではないか。
土曜の午後からならディズニーランドでミッキーとたわむれたり、近場の温泉へ小旅行も夢ではないが、日曜の朝から出かけるともなると、寝坊して昼からサティに行ってこたつ布団を物色して無印でおやつやカラーペンを買うのがせいぜいではないか。

膨らんだ夢ははじけた。
なんだか損した気分だ。
ポップコーンパーティーも急遽、お飲み物がビールからコーラに変更された。
まぁよい。この不景気の中好きなことを仕事にしているんだから、贅沢は言えない。
おやつ、熱いお茶、海外ドラマの三種の神器をたずさえてちまちま手芸をするのも、保母さんらしくてよいではないか。

しかし誰にもだまされていないのに、ぬか喜びした自分自身にだまされた気分だ。
どうせぬか喜びなら気づかずぬかにどっぷり浸かっていればおいしい人になれたかもしれぬものを。
幸せは、幸せであると気づいた人が得るものだと有名な童話「青い鳥」でも語られているが、
小さな幸せに気づけるより、大小関わらず、不幸せに気づかない人の方が幸せなのだと今日気がついた。
口惜しい。
とはいえ、降って沸いた早起きしないですむチャンスのおかげで、少しだけ幸せを手に入れる手段を見いだしたんだからあながち損ではないな。

不憫な人

風呂から上がると、旦那ちゃん(仮)が誰かに謝っていた。
「忙しかったち、ほんまごめんやで」

誰に謝っているのかとそっと覗いてみると、相手はなんと米倉涼子である。
つけっぱなしのテレビの中で観覧車に乗った米倉涼子が、
「許さないんだから」
と言いつつも、「計画的」にあがった花火にほだされて顔は許してしまっている。
キャッシングの例のCMで観覧車に乗せてくれたくらいじゃ許さないと怒っている米倉涼子に、彼は夢の中で謝っていたのだった。
目をつぶっているからか、もう米倉がほだされて違うCMが始まっても、まだ
「ほんまごめんて」
と謝っている。
不憫だなぁ。
「しゃあないなあ、ほな551(アイス買ってきての意)な」
と言うと
「あっ、あるよー」

なぬー!!

冷凍庫に551の蓬莱のアイスが五本もはいっていた。
早速一本食べながらマンガを読んでいると、

「しゃあないやん仕事やしさぁ、んもぅいいよ」
と、旦那ちゃん(仮)は逆切れしていた。
しまった。アイスにかまけて起こすのも許すのも忘れていた。

仕事関係の飲み会で気を使い、遅くなってしまったから私に怒られるのを恐れてアイスを買ってきたのに、私が帰ってくる頃には疲れて寝てしまって、アイスがあることを知らせることもできず、お礼も言ってもらえず米倉にまで怒られている。
嫁(仮)が帰ってきたのにも気づかず、愛猫に枕代わりにされてよだれを垂らしながら謝って逆ギレしている。
不憫だから毛布くらいかけてあげて、私はおふとんで眠ろう。それが大好きなアイスを買ってきてくれた旦那ちゃん(仮)に対するせめてもの優しさというものだろう。