
こんな日が来るとは、つい数週間前まで
想像していなかった。
話がトントン拍子すぎて、
ちょっと怖いくらいですが、
お隣の国南北朝鮮の首脳会談が
板門店で行われた。
板門店は、南北の軍事境界線上にあり、
非武装地帯となっているものの、
その両側では常に兵士たちが
お互いに睨みをきかせている。
戦争の空気感がピリピリと漂う場所だ。
もうかれこれ20年前、
板門店を訪れたことがある。
ソウルから出発するバスツアーがあって、
それを利用すれば板門店の中まで
案内してもらえるのだ。
当時大学生だった私は、友人二人と
韓国旅行に出かけ、貧乏旅行だったので
ホテルには止まらず、
「オンドル」と呼ばれる民宿のような
安宿に泊まりながら、
ソウルから釜山まで、鉄道で移動する
旅をした。
その旅行の中で、一日を使って
板門店を訪れるツアーに参加した
というわけだ。
当時の韓国は物価が安くて、
ショッピング天国みたいに言われていた。
普通、女子大生3人の旅なら、
観光やショッピング中心になるのだろうが、
この3人、朝鮮の南北を分けている境界線を
見てみたいという想いが一致。
停戦状態とはいえ、非武装地帯だし、
観光ツアーになってるくらいだから、
そんな危険なことはないだろうと、
のんきな考えもあった。
バスは外国人観光客もたくさん乗っていて、
すっかり旅行気分の私たちも乗り込んだ。
道中、添乗員さんの案内もあり、
板門店に行くということの心構えを
聞かされる。
朝鮮戦争によって無理やり敷かれた
「北緯38度線」という境界線。
肉親同士が北と南に引き裂かれた人が
いかに多いか。
停戦状態とはいえ、いつ戦闘が起きても
不思議じゃない緊張が続いていること。
国境を超えたら、もう誰も助けに行けない、
過去に連れ去られた人たちが
いること・・・。
だんだんと、旅行気分が消し飛んで、
恐ろしいところに行くのだと感じてくる。
なんで興味本位でこんなバスツアーに
乗ったのか。。。
「もし銃殺されても文句は言いません」
みたいな同意書にもサインした。
板門店の中は完全に撮影禁止で、
撮影できる場所はごくごく限られている。
銃を所持した兵士がごく当たり前のように
そこここに立っている。
国境のあたりに来ると、もうすぐそこは
北朝鮮。北朝鮮側の兵士が立っているのも
見える。
「あんまり向こうをじっと見てはいけません。撃ってくるかもしれません」
とさんざん脅されていたので、
怖くてなかなか見渡す勇気も出ない。
見えない壁を挟んで、
両国の兵士がいつでも撃ち合える体制を
作っている。
これが、停戦状態ということなのか、
と思った。
国際会議が行われる部屋に通され、
そこは5分だけ滞在してもいいという
決まりになっている。
部屋の中央に境界線が有り、
テーブルの真中にも線があり、
その線を挟んで狭い部屋の中にも
兵士がいる。
その部屋の中に限り、
境界線を超えて北側に行っても良いことに
なってて、恐る恐る境界線を超えた。
とにかく、近くに武装した兵士がいる緊張で、
どこもピリピリしてて、
その異様な空気感をすごく覚えている。

(↑その部屋の中で。微動だにしない兵士と)
その板門店で、南北のトップが仲良く
手を繋いで笑顔で対面したのだから、
これは本当に大きな出来事なのだと思った。
もちろん、両者思惑を抱えてて、
手放しでいきなり仲良くなるとは
思えないが、友好に向けて形からでも
歩み寄りが進めばいいと思う。
引き裂かれた家族が再会できる日が、
近い将来、来るといいと思う。

