「怪しい人びと」など、シリーズではないですが、
同じ短編集を集めたものです。
ミステリーやSFなど、多彩なジャンルの短編を集めた本です。
どちらかというとSFの作品の印象が強く、
星新一作品が好きな人はかなり気に入りそうな作品。
個別な感想としては、
まず最初の「正月」の展開の持っていき方が素晴らしい。
東野作品らしくない、というか、キャラクターが先行するようなストーリーなのですが、
実は最後に持ってくる結末のためだった、というオチが素敵。
「十二人の死にたい子どもたち」を読んでいても感じたんですが、
実は、主として語られる登場人物たちは大人だったり、大きな力が影響していて、
本人たちは結果悪くない、というところが、いろいろ考えさせれるなぁと。
「十年目のバレンタインデー」と「君の瞳に乾杯」は展開は似ていても、中身の味が楽しい作品。
主人公が男女の違い、またオチの違いだけで、こうも味の違う作品に仕上げられるのかと、
作者のストーリーテリングの面白さを十分に楽しめる作品。
最後の「水晶の数珠」は息子を持つ父親としては、かなり響く作品。
ストーリー上で出てくる違和感を最後の最後でパカっとピースをはめてくれる爽快感はたまらない。
そして、素直に感動しました。
ライトなミステリー、SFが好きな人はぜひ。