これまでのあらすじ
あとはレバーさんを押し倒すだけ。さすれば、めくるめく秘密の扉は開かれん。
というわけで恒例の、レバーさん(NPC)を吾等善なる一党に同道させようという算段が始まるのだった。
おそらく、レバーさんはホムンクルスか何かの人造人間であろうから、きっとそれなりに強いのではないか。
でも拒否されるのだった。
高貴なるエラドリンのこれまた恒例、友達じゃないか! 攻撃も通じぬ。仕方が無いので、怜悧なるペンテルがレバーさんにマジックミサイルを撃ち込むことで吾等は気を鎮めるのだった。
扉の先の街道は暗黒であった。日の光の届かぬトンネルである。
高貴なるエラドリンがサンブレードを掲げて進む。とてもまばゆい。
と、受動知覚で道の先に人型の物体が倒れていることに気付いた。人型の物体とは何であろうか。大変に怪しいのである。物体、という表現から生物ではないのではないか。とか何とか、吾等はその正体をあれこれ検討す。すごく長い時間。
これは、ああでもないこうでもないと考えるだけ考えて結局何も行動しないまま時間を浪費する、という実生活でよくある風景をあえてロールプレイしたものである。ただの戦闘一辺倒ではない、プレイに深みを与える行為といえよう。よし、正当化終わり。
もっとよく見るとかしないの?
などと、どこか天の上あたりからもっともな声がしてくる。
いい考えだ。よし、よく見てみよう!
というわけで、ようやく能動的に知覚のチェックをすればいいと気付いた吾等。その正体を詳らかにす。
それらはドワーフとオークであった、
「ほう、地を這うウジ虫どもですか?」
高貴なるエラドリンが正体を知って言う。酷いエラドリンだなー。
「間違えた。地中のウジ虫どもか」
さすが。エラドリンはドワーフやオークに差別意識を持っているというロールプレイだね!
と吾等が高貴なるエラドリンを称賛するも、彼は謙虚に首を振る。
「いえいえ、ドワーフは好きですよ」
それは自分の盾になってくれるドワーフなら好きということであって、
「死んだドワーフは役に立たないよね?」
敬虔なるグエドベがエラドリンの深奥を読み取って問うた。だが、高貴なるエラドリンは愛に満ちた男である。死んだドワーフであろうとその場にただ放り出すような真似はしない。
「死んでいようと好きです。身包みを剥げば。よし、金歯だ!」
ドワーフの金歯は4人分あるのだった。
オークの乱杭歯は20人分もあろうか。
ドワーフ達はここでオーク達と乱戦の後、果てたらしい。
ドワーフの1人は、隠し扉らしき扉に挟まった形で死んでいる。先へと続くトンネルの、右側の壁に入り込むような形だ。
もしやすると、このドワーフ達の中にフリンカとかいう者が含まれているかもしれぬ。ドワーフの老女が言っていた、皆を助けるために街道に残ったという『日陰に繋がれた者達』。
「名前わかんない? 免許証とか生徒手帳とか」
無いのであった。
「首持って帰ればわかるかなー?」
敬虔なるグエドベがドラスティックな解決法を提示するのだった。
それはともかく隠し扉である。この奥にもオークがいるに違いない。
「つまり、ここで待っていれば餓死する」
策士エラドリンがその知略を発揮、必勝の策を吾等に授けんとす。だが、
「俺達がな」
敬虔なるグエドベはエラドリンの策の陥穽を看破し、吾等を危険から救うのであった。
このように、吾等善なる一党には智に優れた軍師が綺羅星のごとく集っているのだ。
死んだドワーフ達はそれぞれ顔に入れ墨を入れているようであった。それも『日陰に繋がれた者達』の入れ墨である。歴史や宗教のチェックで、それぞれその謂れ等を思い出す知略あふるる吾等。
この入れ墨は従属を象徴するもので、大変に不名誉な入れ墨であるという。
また、これは拷問と牢獄の神トログの信者にとっては普通のものであるとも思い出す。
あえて不名誉な入れ墨を入れてまで、このドワーフ達はなぜトログに仕えているのか。
疑問を抱える吾等を嘲笑うように、大地が揺れる。不吉な前兆であった。
などと思わせぶりな前振りはどうでもいいのであった。
さっさと先へ進む。隠し扉の奥の部屋へと向かう吾等。そこには過たず、オーク達がいるのであった。雑魚が3人である。吾等はオーク達の虚を突いて威圧し、これを制圧す。
こうして降伏したオーク達は命乞いをしてきた。
「何でも喋るから助けてくれ」
というので、
「この先に何がある?」
「お前らはここに残って何をやってたんだ?」
「お前らの仲間のことを話してもらおうか」
「お前らはどこからきてどこへ行くの?」
「宇宙ってどうしてできたの?」
「よし、わかった。まずはお前ら、誰か1人で話してくれ」
オークはもっともなことを言った。
とりあえず、オークの答えを纏めると以下のようであった。
俺達はここで見張りをしていた。
この奥がどうなっているかは、俺達はわからない。
バビューン様達が奥を見に行った。バビューン様とはヒルクザーク様に仕える№3だ。
バビューン様に付き従っているのはオグル鬼に6~7人のオーク護衛兵、それに雑魚達がたくさんだ。
「よし、先回りして待ち伏せしよう」
高貴なるエラドリンは知略溢れる男である。伏兵によってバビューン隊殲滅を試みんとす。
「一本道でどうやって先回りするの?」
敬虔なるグエドベがその策の綻びを指摘し、吾等を危機から救うのであった。
「喋ったんだから、逃がしてくれ」
オーク達がそう懇願してくるので、吾等は快く、
「なんで?」
命だけは助けた所存だ。縄を打って引き摺っていく。
「殺しはしない。が、自分で死ぬのは止めぬ。どうしてもというなら自害しろ」
高貴なるエラドリンは心優しき男でもある。上のような譲歩案を示した。それに対して、どういうわけかオーク達は難色を示すのだ。我儘な連中である。何か宗教的な理由で自害が認められていないのかもしれぬ。
「じゃあとりあえず、お前ら同士で隣の奴を殺せばいいんじゃない?」
自害できぬというなら……と、敬虔なるグエドベが一神教的解決法を示すのであった。
「来世はいい奴になれよ」
高貴なるエラドリンは心優しき男なのだ。
結局、オーク達を虜囚として同道させる吾等。いざとなったら罠探知機にでもなっていただく所存だ。
更に奥へと進む。
螺旋階段のある部屋に出た。下へと向かっている。
吾等は階段を下った。
と、階段の壁面に絵が描かれているではないか。絵物語となっているようだ。それは巨人とドワーフの戦いの物語のようであった。物語は4枚の壁画で成り立っている。
1枚目はドワーフがスピアで巨人の目を取り出している場面。
2枚目は手斧で巨人の手を切り取っている場面。
3枚目は巨人のあばら骨を取り出している場面。
4枚目は巨人の胸から剣で心臓を取り出している場面。
であった。
2枚目の巨人の手を切り取っている絵に、吾等は思うところがある。
これは吾等が今手にしている筋力修正に+20の手袋と同じ物ではないか。つまり、この絵の巨人に由来する、同じようなマジックアイテム(巨人の目とかあばら骨とか)が他にもあるのではないか、と。
そのように思い馳せつつも、階段を下り終わる。
そこにもオークとドワーフ達の死骸が転がっていた。
で、そこからも何か色々細かい道のりがあったようなのだが、記録してないので忘れた。
場面は一気に飛んでバビューン様の目の前である。そこは巨大な鍾乳洞であった。その中央に、4つの魔法陣に囲まれた巨大な縦穴がある。オークのシャーマンであるバビューン様はその縦穴にかけられた封印を解こうとしているようであった。オグル鬼が縦穴の上に張られた封印っぽい膜の上でどんがどんがジャンプしている。マッピーみたい。
「くくく、ここはトログとモラディンの神殿であろう。エロい宝がザックザクあるに違いない」
バビューン様は、かか、と笑うのだ。
オグルが縦穴の封印を(物理的に)破ろうとするのに合わせて大地もまた揺れる。地震の起きる感覚が短くなっているようだ。
「見よ、わしらを恐れて大地もいなないておるわ!」
バビューン様はご機嫌である。
「冥土の土産に教えてやろう。ここの封印はこの街道を作った石牙の巨人を封じたものよ。さて、貴様等は知り過ぎたようだ。死ねぇっ!」
自分勝手な言動の末、バビューン様一行は吾等に襲いかかってきたではないか。
オークの護衛兵やらがわらわらと寄ってきての殴り合い。残念ながら、ここの記録もあまりしてないのでカットします。
ただ僅かにメモ書きしてあった物を記す。
止めを刺しにハゲタカがやってきた。
「ハゲタカじゃないよ。高貴なハゲタカだよ」
こうしてバビューン様ご一行を撃退した吾等。鍾乳洞の先に、まら別の部屋を発見す。
そこはトログへの祈りを捧げる祭室であり、そこには生き残った「日陰に繋がれた者達」が、封印を維持するために詠唱を続けているようであった。
吾等はその部屋に今まさに押し入ろうとするオーク達から彼らを救出する。
「4つの魔法陣に巨人から切り出した4つの肉体を備えることで巨人を封ずることができるのです」
生き残った「日陰に繋がれた者達」から聞かされた話は以下のようなものであった。
昔、ドワーフの氏族内で石牙巨人の手を持ってっちゃった奴がいて、それで内紛が起きた。巨人の手が盗まれたことで封印は弱体化。ドワーフの神モラディンの力だけでは封印が維持できない。そのため、彼等は牢獄の神トログに帰依しその力を借りて巨人の封印を維持してきた。
と、そのような話であったと思う。もっと色々細かいことも話していたと思うが、もう覚えていないので各自で思い出してください。
ともかく、この「日陰に繋がれた者達」の言うことが正しいなら、他にもある巨人のパーツをすべて回収し、先程の魔法陣に供えなければならぬ。そこらへんの儀式は「日陰に繋がれた者達」がやってくれるようであるから、吾等はただ巨人のパーツを奪い返すことに専念すればよい。
オーク達が魔法陣に残っていた他のパーツを持っていってしまったため、最早封印は解けかけている。石牙巨人が目覚めるのも時間の問題といえよう。目覚めた巨人は恐るべき災厄をこの地にもたらすであろうこと、想像に難くない。
吾等はオーク達から巨人のパーツを奪い返すべく、探索を続けるのだった。
吾等善なる一党は石牙街道を抜ける。入ってきたのと反対側にあたる出口だ。そこにはドワーフ達の砦のある、開けた地があった。川も流れている。ついでに砦の前にはオーク達がいっぱいいるのだった。
オークのトゥトゥハク様とペットの花子(ダイアベア)による奇襲である。
面倒くさいから川に落としてやったら、死んだ。
大勝利。
「……あいつが巨人のパーツ持ってたかもしれないのに」
知略溢れる敬虔なるグエドベが、全ての片がついてからぽつりと言った。
トゥトゥハク様は川底に消えて最早見えぬ。
どうやら吾等は石牙巨人を封ずる手立てを失ったようであった。
めでたしめでたし。
というところで次回に続いた。