「能や歌舞伎、文楽、落語などを日本人自身が知らない。海外でも和食は評価されても、文化はまだ浸透していない。ならば『これが日本文化だ』を、日本と海外で発信していきたい」。歌舞伎俳優、市川海老蔵(36)が10月から、和の世界を一堂に集めた舞台を東京・日本橋と京都から始める。「ジャパンシアター」と銘打った企画名に、その狙いが込められている。(飯塚友子)
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◆エッセンス集め
今回の「ジャパン-」は、能の仕舞「屋島」や落語「江戸噺」、歌舞伎舞踊「藤娘」、津軽三味線(京都のみ)など和の文化のエッセンスを集めた構成。30代を中心とした意欲あふれる伝統芸能界の若手が結集する中、海老蔵は平家物語の朗読と新作舞踊「男伊達花廓(おとこだてはなのよしわら)」に出演する。
「経済が右肩下がりの中、日本は文化に力を入れないと成長はない。でも、“クールジャパン”と言われ、日本は格好良い、日本は面白い、日本に来ようぜ、と外国人に思われても、果たして“日本文化”はどれだけ浸透しているのか。ジャンルうんぬんを言っている場合ではない。“日本ブランド”として何ができるか考えないと」