和食が昨年12月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録され、家庭で作る和食の良さが見直されている。一方、和菓子はケーキやクッキーなどの洋菓子と比べ、自宅で作ることは少ない。和菓子作りを教える教室があると聞き、千葉県成田市を訪ねた。(村島有紀)
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◆季節を表現
真言宗智山(ちさん)派の大本山、成田山新勝寺の参道に店を構える「なごみの米屋(よねや)」。明治32年に創業した羊羹(ようかん)と和菓子の専門店で、和菓子教室を平成14年から毎週水曜を中心に年間40日ほど開いている。
講師は入社5年目の和菓子職人、山崎祐実さん(25)。高校時代、京都を旅行し、色とりどりの美しい和菓子と出合い「一体、どうやって作るんだろう」と興味を持ったのが、職人になるきっかけだ。
「和菓子は、一つ一つが手作業で、練り切りは色や形で季節を表現します。花びらの形も、指先の力の入れ方で表情が変わる繊細な作業」と山崎さん。
9月3日の教室では8人の参加者が、栗入りの蒸しカステラと「上生菊」(練り切り)に挑戦した。
蒸しカステラは卵、上白糖、白あん、水、薄力粉で生地を作る。