中村梅雀「しびれる緊張感」
スカパー!と時代劇専門チャンネルは、計3時間にわたる長編時代劇「闇の狩人」を共同制作した。池波正太郎の長編小説が原作で、前編をBSスカパー!で14日午後6時、後編を時代劇専門チャンネルで10月5日午後9時にそれぞれ放送。全編フィルムカメラで撮影された緊張感を、主演の中村梅雀(ばいじゃく)(58)は「役者にとってしびれる時間だった」と振り返る。
盗賊の弥平次(梅雀)は記憶喪失の若侍(福士(ふくし)誠治)を助け、「弥太郎」と名付けて別れる。弥平次は数年後の江戸で偶然、弥太郎が人を斬る姿を目撃。記憶が戻らず、仕掛人となっていた弥太郎を案じた弥平次は、香具師(やし)の元締、清右衛門(津川雅彦)のもとから助け出そうと決意する。
「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の3大シリーズのエッセンスが凝縮された原作は、池波作品の集大成とも評されている。それだけに脚本の密度も濃く、梅雀も当初は難しさを感じたという。「弥平次は盗賊一家や弥太郎、夫婦といった、いろんな関係の間で揺れる。自分自身の現場での“揺れ”をそのまま生かせたら…と思っていたら、監督が見事に料理してくれました」と、笑って手応えを語る。
フィルム撮影にこだわってきた時代劇専門チャンネルのオリジナル時代劇第5弾に当たり、チャンネルを運営する日本映画衛星放送の杉田成道(しげみち)社長は「フィルムからなら容易に4Kにもできる」と将来を見据える。同チャンネルとスカパー!では今後、連続時代劇の制作も視野に入れている。(三品貴志)