国内の製鉄所では作業員が「ご安全に」という挨拶を日常的に交わす。数千度に達する溶鋼などを取り扱う危険な作業の中で、安全最優先の意識を確認しあうためだ。
新日鉄住金の名古屋製鉄所で15人が負傷する爆発事故が起きた。同製鉄所では今年に入り、停電で大量の黒煙が発生するトラブルが4回も続いていた。
その再発防止策を取りまとめていた最中の事故である。世界的にもトップクラスの企業で安全文化が揺らいでいるなら大問題だ。
相次ぐトラブルと事故で地元の不安は高まっている。生産設備の稼働は一部再開されたが、原因解明や再発防止をおろそかにすることは許されない。
事故が起きた製鉄所はトヨタ自動車やホンダなどに鋼板を供給する拠点の一つで、石炭の貯蔵施設が爆発した。これまでの停電との関連や原因は不明だという。工場は操業開始から約半世紀が経過しており、設備の老朽化を指摘する声もある。
同社グループでは昨年、八幡製鉄所内の子会社が爆発による死傷事故を引き起こした。その際、同社は全国の拠点で安全対策を展開する方針を表明していた。労災事故防止を徹底する意識改革が問われている。