「ノンちゃん」の愛称でお茶の間にも親しまれている堤信子アナウンサーだが、実は知る人ぞ知る文具愛好家。すでに文具・ライフスタイル関連の著書も5冊を数える。そんな堤アナが20年以上通い続ける愛してやまないパリの、文具店とカフェを紹介したのが本書である。
パリの素敵な雑貨とカフェを紹介するガイドなら女性雑誌の特集記事で事足りるだろう。本書がそれらと一線を画しているのは、並々ならぬ文具への「愛」の熱量とそれらを活用して生活を豊かにする「実践(アイデア)」の豊富さである。
紹介されているのは、パリモチーフの雑貨店、老舗の筆記具店、画材屋さん、布地屋さん、書店、大学生協、古道具の店…。ことに紙アイテムに目がない著者ならではの古紙市や古書市の紹介や店ごとのラッピングを掲載したページも楽しい。
文具や雑貨は、歴史を感じさせるもの、作り手の思いが伝わってくるもの、どこか懐かしい手触りがあるものばかり。そんな文具たちと出合ったとき、著者の頭の中でそれらを自分流に使いこなすアイデアがスパークする。収集したアイテムをどんなふうにカスタマイズしているかは、ぜひ本書で確かめてほしい。
「堤流トラベルノートの作り方」や旅先から送る手紙のアイデアなどは、旅の達人ならではのもので、大いに参考になるだろう。
本書には旅を何倍にも楽しくするヒントが、たくさんつまっている。(実業之日本社・本体1500円+税)
実業之日本社 第一編集本部 湯浅勝也