小中高校の学校図書館を管理し、児童生徒の本探しや蔵書を活用した授業の手助けを行う職員「学校司書」。法令上あいまいな立場で、配置していない学校も多かったが、6月に国会で成立した改正学校図書館法で、各学校への配置が努力義務として定められた。学校司書がいることで、何が変わるのだろうか。(磨井慎吾)
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学校図書館充実の先進自治体として全国的に注目されている東京都荒川区。平成19年度に全区立校に学校司書を配置し、21年度には全校での常駐化を達成した。「人がいないと、図書館はあらゆる意味で活性化しない」と語るのは、同区立瑞光小の学校司書、布川登子(ふかわ・たかこ)さん(49)。3年前から同校常駐となり、本の貸し出しや返却の対応はもちろん、児童の本探しの手助けや、蔵書購入など図書館に関わる幅広い業務を担当。学校司書がいる最大の利点は「授業で先生が学校図書館を利用しようとしたとき、適切なアドバイスができること」。特に、近年重視されている総合学習での「調べ学習」の際に、力を発揮するという。
荒川区によると、同区の児童1人あたりの年間図書貸出冊数は、21年度に47・2冊、25年度には65・9冊と、配置前に比べて3~4倍の伸びを示しているという。同小の大山祐子副校長は「常に図書館に人がいることは大事。司書が常駐することで、本を借りることが日常化する。結果的に学力も付くので、現場としてはありがたい」と、学校司書配置の意義を語る。