ALPS処理能力に規制委“お墨付き” 福島第1「審査書案」作成へ 海洋放出の不安払拭狙う  | 毎日のニュース

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 東京電力福島第1原発の汚染水処理の“切り札”で東電が12月に本格稼働させる「多核種除去装置(ALPS=アルプス)」について、原子力規制委員会が汚染水処理の有効性を保証する「審査書案」をまとめることが12日、分かった。規制委の更田(ふけた)豊志委員による検討会合で有識者メンバーらの意見を聴取した上で、規制庁が書面作成に着手する。規制委が事実上の「合格証」を与えることで、処理水の海洋放出への不安を和らげる狙いもある。

 東電は当初、3系統あるALPSの本格稼働を今年4月に予定。2月には規制委にALPS稼働の申請を行っていたが、配管の腐食や放射性物質を除去するフィルターの故障など不具合が相次ぎ、延期を余儀なくされた。東電は「これまで試験運転で経験してきた不具合解決に決着が付いた」として12月の本格稼働を公表。本格稼働に向け規制委に補正申請を提出し、規制庁が汚染水処理での有効性を確認する段階に入った。

 だが、本格稼働に向け、解決課題も残っており、東電は10月までに改良する。審査書案では、改良により課題が解決できたかを最終的に確認する方針だ。

 ALPSの処理水からはコバルト60など4種の放射性物質がまだ比較的高い濃度で検出されている。このため、放射性物質を取り除く吸着材を変更し、吸着塔を18基に増やすことで4種の濃度を大幅に低減させられるように改良する。