心の声が聞こえてくる 映画「サンシャイン 歌声が響く街」 デクスター・フレッチャー監督 | 毎日のニュース

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 2007年の初演で大ヒットした英ミュージカルを映画化した「サンシャイン 歌声が響く街」(1日、全国公開)は、スコットランドの田舎町リースで暮らすごく平凡な家族が、思わぬ試練を次々と乗り越えていく力強い姿を描いた人生賛歌だ。俳優でもある英国のデクスター・フレッチャー監督は大のミュージカルファンで、本作の味付けに関しては「子供から大人まで幅広く楽しめる親しみやすい作品を目指した」と意気込みを語った。

 結婚25周年を迎えたばかりのロブ(ピーター・ミュラン)とジーン(ジェーン・ホロックス)のもとへ、アフガニスタンでの兵役を終えて無事帰還した長男のデイヴィー(ジョージ・マッケイ)と、親友のアリー(ケヴィン・ガスリー)が顔を出し、たちまちロブ一家はお祝いムード一色となった。だがそれもつかの間、大勢の友人を招いた銀婚式のパーティーの席上、ロブに24歳になる隠し子がいることが発覚し…。

 スコットランドの人気バンド「ザ・プロクレイマーズ」のアルバム「サンシャイン・オン・リース」(1988年)のナンバーに乗せて、登場人物たちが実に生き生きと人情味たっぷりに描かれている。フレッチャー監督は登場人物の構築について「歌詞をじっくりと味わったうえで、登場人物はどんな人間なのかをゼロから作り上げていった。かなり時間をかけた」と振り返った。

 そんな製作スタイルをとったのは、オペラの舞台監督でもある妻の「音楽は登場人物の心の声を直接的に表現できる」という主張を意識してのものだったそうだ。それぞれが傷つき、今にも空中分解しそうな家族の姿が、どこか温かく味わい深いものとなったのもうなずける。(高橋天地)