安倍晋三政権にかつてない国際社会の追い風が吹いている。日中の対比の中で追い風はさらに強まりつつある。
5月30日、アジア安全保障会議で安倍首相が「法の支配」に12回言及すれば、7月9日、習近平国家主席は米中戦略・経済対話で「新型大国関係」を10回繰り返した。
安倍首相の積極的平和主義と集団的自衛権行使容認を8日、アボット豪州首相が歓迎し、日豪共同声明で「緊張を高める行動を差し控えることを呼びかける」と中国を牽制(けんせい)した。すると、中国は、米中対話後の10日の記者会見で「断固として領土主権と海洋権益を守る」「(南シナ海や東シナ海で)一方的に肩入れしないよう求める」と、頑(かたく)なに主張し米国を牽制した。
国際法無視の中国に「法の支配」の尊重を求める安倍首相の価値観外交は、東南アジア諸国連合(ASEAN)、米国、欧州に至るまで歓迎されているが、習主席の力による海洋進出を歓迎する国はないだろう。中国がこだわる新型大国関係に至っては、オバマ米大統領も「大国」という言葉を使わず、「新しい形の関係」とのみ表現し、中国の土俵に乗ることを、一応、避けた。