【日曜経済講座】大規模停電への警戒怠るな…「原発ゼロ」で迎える初めての夏 論説委員・井伊重之 | 毎日のニュース

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 夏季の節電期間が今月から始まった。今年は初めて「原発ゼロ」の夏となり、深刻な電力不足が懸念されている。先週は全国で早くも今年最大の電力需要を記録した。しかし、政府は具体的な数値を定めた節電目標を見送り、自主的な節電の要請にとどめた。「企業活動に与える影響に配慮した」と説明するが、猛暑で電力需要が急増すれば、電力不足から大規模停電が発生する恐れもある。危機管理を含めた政府のエネルギー政策が問われている。

 節電要請は沖縄県を除く全国の都道府県を対象としている。7月1日から9月30日まで土・日と祝日、お盆期間を除いた午前9時から午後8時まで、「無理のない範囲での節電」を求めるという。

 東日本大震災直後の平成23年と24年の夏は、数値目標付きの節電を求めた。ただ、政府は企業や家庭の節電意識が浸透したとみており、昨年夏と今夏は数値目標は見送った。比較的余裕がある東京電力から西日本地域に電力を供給すれば、夏場を乗り切れるとの判断があったからだ。

 確かに節電意識の浸透でピーク時の電力需要は震災前より最大で10%程度減少したとされる。これは電気料金の上昇も理由の一つだ。だが、利用者の「節電疲れ」に加え、景気回復で需要の伸びも予想される。電力需給は楽観できる状況にはない。