拉致被害者らの再調査は拉致問題の解決につながるのか。独裁国家の北朝鮮では、金正恩(キムジョンウン)第1書記の決断がすべてを左右するとされる。欧米に目を向ける開明的な面の一方で、祖父の政治姿勢をまねる保守的な面も見せる若き指導者。金第1書記に関する専門家の評価は分かれるが、拉致問題で一定の進展はあるという見方では一致している。(松岡朋枝)
欧米への高い関心
金正日(ジョンイル)総書記の三男である金第1書記。1982~84年の1月8日に生まれたという説が有力で現在、30歳代前半とみられる。スイス留学を経験し、母の高英姫(コヨンヒ)氏は在日朝鮮人で、大阪で暮らしたことがある。
米国の元プロバスケットボール選手、デニス・ロッドマン氏を北朝鮮に招待。音楽公演にはディズニーキャラクターを無断で登場させ、スキー場や乗馬施設を整備した。
聖学院大学の宮本悟特任教授(44)は「西洋文化に対してネガティブなイメージを持っていない点が過去の指導者とは異なる」とみる。
祖父を踏襲
欧米文化に並々ならぬ関心を見せる金第1書記だが、その政治スタイルの一部は祖父の金日成(イルソン)国家主席を踏襲している。