「1日1個のりんごは、医者を遠ざける」。英国のことわざでこう言われるなど、健康にいい食品として知られるりんご。飲料大手のアサヒグループホールディングスはこのほど、りんごに含まれる天然成分「りんごポリフェノール」が、人の疲れやすさや寝つきなどを改善することを初めて実証した。老化の原因となる体内の活性酸素を取り除く「抗酸化力」の強さが、その理由とみられる。(山口暢彦)
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りんごポリフェノールは、アサヒグループのニッカウヰスキーが1990年代に発見。抗酸化力の強いプロシアニジン類を主成分とし、1個のりんごに100~150ミリグラム、含まれている。
アサヒグループはこれまでもりんごポリフェノールについての研究を進めており、アレルギー性鼻炎によるくしゃみや鼻水の改善、脂肪の排出を促して体内での蓄積を抑える作用、マウスの寿命延長効果などがあることを確認している。
このほかにも、りんごを切ると断面が茶色に変わる現象が、実をみずみずしく保っておくためのりんごポリフェノールの働きとして知られている。
今回の研究結果は、6月6~8日に大阪市で開かれた第14回日本抗加齢医学会総会で発表された。研究を監修した順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座の白澤卓二教授は、「りんごポリフェノールが、加齢によるQOL(生活の質)の低下を改善するのに、有効である可能性が示された」と指摘する。