通信教育大手の「ベネッセコーポレーション」から大量の顧客情報が流出した。顧客の元には他社から勧誘のダイレクトメールが届くケースが頻発しており、被害相談を受けた警視庁は、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)などの疑いで捜査を始めた。
ベネッセは、データベースに集約していた顧客情報の管理が万全だったか、徹底的に検証を進める必要がある。警視庁には、情報の流出経路の全容解明を求めたい。そして流出名簿を売買し、営業活動に使用していた企業も、責任を負う必要がある。
ベネッセは、顧客情報は社内データベースからアクセス権限のある同社社員以外の内部関係者が故意に持ち出した疑いが強いとし、ベネッセホールディングスの原田泳幸(えいこう)会長兼社長は「情報を流出させた側も、利用した側も明らかに悪意がある」と話した。
不正競争防止法は、市場における公正な競争の確保などのために設けられたもので、平成13年以降、7度にわたって処罰対象範囲の拡大や罰則強化などの改正が重ねられてきた。
21年の改正後は、不正に利益を得る目的での営業秘密の漏洩(ろうえい)にも適用できるようになり、3月には東芝の研究所データを韓国企業に流出させたとして、元技術者の男が同法違反容疑で逮捕された。