【長野土石流災害】線路橋脚や民家押し流す 住民「こんな被害は初めて」 | 毎日のニュース

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 川沿いの土手は大きくえぐられ、線路を支える橋脚や民家も押し流した-。台風8号の接近に伴う梅雨前線の影響で大雨となった長野県南木曽(なぎそ)町読書(よみかき)で9日夕に発生した土石流。中学1年の榑(くれ)沼(ぬま)海(かい)斗(と)君(12)の死亡が確認されたが、町役場によると、現場に近づけず被害の状況確認はままならない状態だという。「こんなことになるとは…」。役場関係者や住民は声を震わせた。

 町役場の総務課長、堀賢介さん(55)は9日午後5時40分ごろ、異変を察知した。たたきつけるような雨で恐怖を感じ、役場の窓の外を見ると、木曽川の沢伝いに流れ込む土石流が見えたという。

 土手を大きくえぐる様子が見え、すぐに防災無線などを通じ避難や川に近づかないように住民らに呼びかけたが、橋や民家を飲み込んでいったという。

 JR中央線の線路やコンクリートの橋も押し流し、堀さんは「あっという間の出来事で信じられず、どうしてよいのか分からなかった」と語る。

 1軒が流され、5軒が半壊したという情報もあるが、現場には思うように近づけず、堀さんは「一刻も早く状況を確認したい」と話した。

 同町は9日夕、1時間雨量が7月の観測史上最大となる70ミリを記録。ガソリンスタンドで働く女性(62)は「バケツをひっくり返したような雨。現場は斜面も多く土砂崩れなどを心配していたが、まさか現実になるとは…」と話す。

 住民の男性(65)は防災無線で土石流の発生を知った。現場に向かおうとしたが、沢沿いの国道19号は冠水し、近づけなかったという。「50年以上住んでいるが、こんな被害は初めてだ」。男性は言葉を詰まらせた。