活字なら「明朝体」「ゴシック体」といった書体がありますが、書の世界で書体というと、「楷書」「行書」「草書」「篆(てん)書」「隷書」が挙げられます。これを「五体」と言います。私たちが普段、目にするのは楷書と行書です。
楷書…基本の字形を崩すことなく書き記す「楷書」は、子供の頃から学んできていますので、一番なじみのある書体といえます。直線的で角張った骨格を持ち、礼儀正しい印象を与えてくれるので、公式な書類やオフィシャルなビジネスの場などに効果を発揮します。
行書…書く速さや筆遣いを重視した書体です。速く書け、読みやすくするために文字の点や画の形を変化させたり、省略したりしています。つなげて書く連続線が現れるのも特徴で、曲線的な形状で流れるようにスラスラと書くことができます。親しみの手紙やメッセージを贈るのに適しています。
草書…漢字を最も簡略化した書体です。原形と大きく異なる場合も多く、文字ごとに読み・書きを覚える必要があります。現代では使用されることは少なくなりましたが、書作品などでは多く使われています。
篆書…書体としては最も古く、他の4種類の書体の基になっています。印章や碑文などに使われています。
隷書…篆書を簡略化したもの。お札の「千円」「壱万円」や表札などに使われています。
文章は漢字にひらがなが加わります。楷書・行書などの書体は中国で生まれた漢字にしかありません。日本で生まれたひらがなと合わせて「漢字かな交じり文」を書く場合は、「楷書に調和するひらがな」「行書に調和するひらがな」を用いると、文章全体にバランスの良い美しい一体感が表れます。(公文エルアイエル・公文書写)