■ことわざ落語絵本、オチ注目
毎日雨が降り、なんだか憂鬱な気分になってしまう梅雨。そんなじっとりした雨降りも、ちょっと楽しくなってしまう物語だ。
「ネコが顔を洗うと雨が降る」という言い伝えがテーマ。主人公のねこきちは顔を洗うのもめんどくさいというぐうたらネコなので、この言い伝えとは無関係だったが、あるとき自分の顔を洗って雨を降らせる「商売」を思いつく。
「ねこさん、ねこさん、あめを うるってのはほんとかい。おらたちの はたけに…」。そんな風にやってくるお客さんの望むまま、顔をごしごしとやって雨を降らせていく。
本当は、ネコが雨降り前の湿気を嫌って前足でひげをぬぐう様子が顔を洗っているようにみえることからできた言い伝えだそうだけれど、自由な発想から生まれる昔話調のストーリー展開が面白い。所々に日本語の慣用表現が織り交ぜてあるので、楽しみながら学ぶこともできる。
「ことわざ落語絵本」というだけあって、最後の“オチ”にも注目だ。(講談社・本体1400円+税)
評・佐々木詩(文化部)